2017.10.13金曜日

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コラムcolumn

ひよっこから心震わす大人の女性へ! 進化し続ける有村架純の、秘められた魅力

ナラタージュ
「ナラタージュ」 10月7日(土)全国公開
配給:東宝、アスミック・エース
©2017「ナラタージュ」製作委員会

映画「ビリギャル」や、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」などで知られる女優・有村架純。作品ごとに役柄の幅を広げ進化していく彼女が、最新映画「ナラタージュ」(10月7日より公開中)で新境地に挑んでいます。そんな有村架純がなぜ女優として求められ続けるのか? 観ている私たちはなぜその芝居に心を震わされるのか? 「カワイイ」だけではない、有村架純の秘められた魅力に、迫ります。

嵐・松本潤を相手役に、有村架純が大人の恋愛に挑む

「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)など恋愛映画の名手と言われる行定勲監督が、約10年も企画を温めてきたというのが、島本理生の同名恋愛小説を原作にした映画「ナラタージュ」。 高校の教師と生徒として出会った男女が時を経て再会し、許されない恋に落ちるという大人のラブストーリーです。

物語の中心となる2人、葉山と泉を演じているのが、嵐の松本潤と有村架純。 ドラマ「失恋ショコラティエ」(2014年)では兄妹役として共演した2人が、恋の相手役として再共演を果たしています。

妻のいる葉山への思いを抑えられず苦しむ泉。演じる有村も「泉でいることは苦しかった」そうですが、泉の複雑な心の揺らめきを繊細に演じ、“大人の女性・有村架純”を見せてくれています。

また、大人の恋愛が描かれる作品なだけに、ラブシーンも重要。 葉山と泉がシャワーに濡れながら絡み合うシーンや、激しく体を重ね合う場面など、息遣いが聞こえるほど生々しいラブシーンは、作品の大事な一片を美しくも切なく彩っています。

今後は“ひよっこ”の殻を破った、“大人”な顔にも期待が高まる有村架純。 これまでの活躍も改めて振り返ってみたいと思います。

あまちゃん?ひよっこ? 更新されていく有村架純の代表作

1993年生まれ、兵庫県出身の有村架純。 NHK連続テレビ小説「あまちゃん」(2013年)で、主人公の母・春子(小泉今日子)の若き日をキュートに演じ、一気に国民的な知名度を獲得しました。 「あまちゃん」後から現在に至るまでは、映画やドラマ、舞台、CMにと引っ張りだこなのは周知の事実ですよね。

例えば、映画「ビリギャル」(2015年)、声優を務めた「思い出のマーニー」(2014年)、そしてヒロインという大役を務め上げた「ひよっこ」などなど…。

「ひよっこ」と言えば、オーディションではなく脚本家・岡田惠和が有村架純をヒロインに指名した、ということでも話題を集めました。 女優デビューは 「ハガネの女」(2010年)というドラマですが、映画初出演作は岡田惠和が脚本を務めた 「阪急電車 片道15分の奇跡」(2011年)。 岡田はこの時の有村を見て「まっすぐに役のことを考えて、気持ちを大切にお芝居をしている姿が印象に残った」と、NHKによる「ひよっこ」のインタビューで話しています。 映画デビュー作ですでに、名脚本家の心をとらえていたんですね。

ちなみに、女優を目指すなかで標準語を身につけたという彼女ですが、この「阪急電車 片道15分の奇跡」は関西弁を話す女子高生役。 一人抱え込んでいた思いをすすり泣きながら関西弁でぶちまける場面は、胸に迫る芝居を見せてくれています。

そして彼女の代表作と言えるのが、ブルーリボン賞主演女優賞、エランドール賞新人賞、日本アカデミー賞優秀主演女優賞・新人俳優賞2部門を受賞するきっかけとなった映画「ビリギャル」(2015年)でしょう。 ファッションやメイク、遊びに夢中で、高校2年生なのに小学4年生の学力しかない金髪ギャルが慶応義塾大学の現役合格を目指すという、実話を基にしたサクセスストーリー。 有村は、自由奔放ながらも人間味がある愛すべきキャラクターを熱演。 支えてくれる家族や友達、そしてさやかを導いてくれる塾講師との絆の描写に、何度も泣かされます。

「ビリギャル」もそうですが、何かに向かってあきらめずに頑張る女の子、そんなイメージの役が多い有村架純。しかし最近、そのイメージをくつがえすような役を演じ、話題になりました。それが 「3月のライオン 前編・後編」(2017年)です。 有村が演じたのは、高校生棋士である主人公・零(神木隆之介)の義理の姉・香子。零に対してきつくあたる気性の荒い性格のキャラクターで、人気漫画の実写化なだけに公開前は「(有村と香子では)イメージが違う」という意見も少なくありませんでした。 しかし、いざふたを開けてみれば、有村は大人の色香漂う悪女を見事に演じていて、賞賛の声があふれるほど。 有村架純という女優が、今後ますます広く深く進化することを、確信を持って感じられると思います。

3月のライオン
3月のライオン【前編】
© 羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会

有村架純の芝居の原点は、「ストロボ・エッジ」での演技指導

有村架純の世代は、高畑充希、松岡茉優など、かわいらしさも演技力も兼ね備えた、勢いのある女優がそろっています。 そんな中にあっても、有村架純がひときわ躍進している理由の一つには、彼女の芝居が観ている人の感情を揺さぶってくることにあります。

「大切にしたいことは、心でお芝居するということ」とブログに記している有村。 「ストロボ・エッジ」(2015年)の撮影時、廣木隆一監督から言われた言葉が自身の芝居の原点であると、彼女はインタビューや自身のブログなどでもたびたび語っています。 それは、「気持ちがあれば目から伝わる」ということ。 そして芝居を作ろうとすると「余計なことすんな」とバレて、「お芝居は引き算だから」と言ってもらったこと。 後に「ビリギャル」で各賞を受賞した際には、廣木監督との出会いがなければ(「ビリギャル」を)演じきれなかったかもしれない、とも言っています。

そんな有村の転換点にもなった「ストロボ・エッジ」は、少女漫画を実写化した青春ラブストーリー。 福士蒼汰演じる蓮に思いを寄せている仁菜子(有村架純)ですが、自分の「好き」という気持ちが人を傷つけることになると知り、蓮を突き放す場面では、気持ちを押し殺す芝居にグッと胸が締め付けられます。 それゆえ、自分の気持ちに素直になると決め、涙ながらにあふれる気持ちを伝えようとするラストの仁菜子の姿は、もう駆け付けて抱きしめてあげたくなるほど愛おしく映るのです。

ストロボ・エッジ
ストロボ・エッジ
© 2015映画「ストロボ・エッジ」製作委員会 © 咲坂伊緒/集英社

廣木監督とは 「夏美のホタル」(2016年)で再びタッグを組んでいます。 写真家になる夢や恋人との関係に不安を抱えていた主人公・夏美が、亡き父との思い出の森を訪れ、出会った人々や自然の中で成長していく姿を描いた感動のヒューマンドラマ。 説明シーンやセリフも少なく、まさにふとした目の動きや表情の変化から、感情がひしひしと伝わってきます。 特に印象的なのは、夏美は亡き父のバイクに乗っているのですが、フルフェイスのヘルメットをかぶったまま泣く、まさに目だけで感情を表現した場面。

そう、また泣くシーン。有村架純は泣きの芝居がとにかく絶品なんです!

「ストロボ・エッジ」「夏美のホタル」のほか、前述の「ビリギャル」「3月のライオン」、そして「ひよっこ」など有村架純の出演作品の多くに、泣く場面が出てきます。 そして、観ているこちらも、泣かされます。

彼女の芝居は、演じるキャラクターに温度を与え、応援したくなる、とにかく愛おしいと思える存在にしてしまう力があるんです。 そして「伝えたい」という気持ちにあふれているので、涙があふれるほど気持ちが昂るシーンは、見ているこちらも感情を持っていかれ、思わずもらい泣きしてしまいます。

夏美のホタル
夏美のホタル
© 2016「夏美のホタル」製作委員会

まとめ

映画やドラマで有村架純が泣くと、観ている私たちも自然と同じように涙が出て、感情を揺さぶられていたことに改めて気づきます。それは、泣きの芝居が上手いというだけではなく、そこに至るまでの「心で芝居をする」ということが伝わってくるから。「ナラタージュ」で大人の女性を演じることで「心の芝居」にさらに深みを増した有村架純に、私たちはこれからも心を震わされ続けるでしょう。

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