2017.10.16月曜日

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コラムcolumn

人間よりも猿に感情移入しちゃうかも⁉きっと全作見たくなる!SF映画の大傑作「猿の惑星」

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)
猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」10月13日(金)全国ロードショー
配給:20世紀フォックス映画
©2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

1968年に誕生したSF映画の大傑作「猿の惑星」。2011年から新たに作り直したシリーズが、「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」(10月13日公開)でクライマックスを迎えます。それを機に、新旧「猿の惑星」シリーズをコンプリートしませんか?

「猿の惑星」9作品を、公開日順に整理しておきましょう!

1968年に第一作目「猿の惑星」が製作され、猿が人間を支配するという斬新な設定と、ショッキングなラストが観客に衝撃を与え、世界的大ヒット。それを受けて「続・猿の惑星」(1970年)、「新・猿の惑星」(1971年)、「猿の惑星・征服」(1972年)、「最後の猿の惑星」(1973年)が作られ、計5作で一つのシリーズとなっています(以下、旧シリーズ)。

その後、ティム・バートン監督が“リ・イマジネーション”という形で、設定のみを生かし完全オリジナルストーリーで再映画化したのが「PLANET OF THE APES/猿の惑星」(2001年)。

そして、新たなリブート(再起動)版となるのが、「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」(2011年)から始まり、「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(2014年)、「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」へと続くシリーズです(以下、新シリーズ)。

ただのSF映画にとどまらない、現実問題が盛り込まれた旧シリーズ

まずは、約40年経った今でも、SF映画の金字塔として燦然と輝き続ける旧シリーズの魅力を紹介します。

猿の惑星
猿の惑星 © 1967 Twentieth Century Fox Film Corporation and Apjac Productions, Inc. Renewed 1995 by Twentieth Century Fox Film Corporation.

記念すべき1作目は、主人公のテイラー(チャールトン・ヘストン)ら宇宙飛行士たちが、未知の惑星に不時着したところから始まります。そこではなんと猿が人間を支配。猿に捕えられたテイラーは、チンパンジーのコーネリアス(ロディ・マクドウォール)とジーラ(キム・ハンター)の協力を得ながら、口のきけない人間の女性・ノバ(リンダ・ハリソン)と決死の逃亡を図ります。そして最後に待つのは、あまりにも有名な衝撃のラストシーン。ストーリーもオチも、今なお色あせない!

テイラーのあとを追って宇宙飛行士ブレント(ジェームス・フランシスカス)がやって来るのが「続・猿の惑星」。ブレント、ノバ、テイラーは、コバルト爆弾を神と崇めるミュータント人類と猿たちとの戦いに巻き込まれてしまいます。放射能の影響を受けミュータント化した人類は、幻覚を見せることができたり、人間の頭の中を操作して殺し合いをさせることができたりと、猿以上に不気味で恐ろしい。実はこのラストもかなり驚愕!

続・猿の惑星
続・猿の惑星
©1969 Twentieth Century Fox Film Corporation.
新・猿の惑星
新・猿の惑星
© 1971 Twentieth Century Fox Film Corporation.

「続・猿の惑星」が絶望エンドなだけに、「新・猿の惑星」はどうなるかと思えば、チンパンジーのコーネリアスとジーラが過去にタイム・トラベルをするというお話に。最初こそ警戒されるも、知性とユーモアを備えた2人はすぐに人気者になりますが、未来の猿と人類の関係性がばれ、2人に危機が…。本作で「猿は猿を殺さない」という有名なセリフが出てきますが、これは新シリーズでも重要な掟として受け継がれています。

そして、コーネリアスとジーラの息子シーザー(ロディ・マクドウォール)が、奴隷化した猿たちと共に人類に反乱を起こし、リーダーとなるのが「猿の惑星・征服」。シーザーが猿の惑星の誕生を宣言する演説シーンは、胸に迫ります。

引き続きシーザーが主人公の旧シリーズ完結編「最後の猿の惑星」では、平等とは言えないながらも猿と人類が共存。そんな折、ミュータント人類と猿たちとの戦闘が始まってしまいます。猿と人類が迎える未来を見届けましょう。

猿の惑星・征服
猿の惑星・征服
©1972 Twentieth Century Fox Film Corporation.
最後の猿の惑星
最後の猿の惑星
©1973 Twentieth Century Fox Film Corporation.

映像的な古さすら、むしろシュールで味わい深くもある旧シリーズ。しかし猿の特殊メイクは当時としては実に精巧で、メイクアップ賞がまだ設立されていなかったアカデミー賞において、メイク担当のジョン・チェンバースは名誉賞を受賞しています。特に感情が豊かなジーラは、驚いたり、笑ったり、恥じらったりと細かな表情が巧みに表現され、なんとも愛らしいので、注目です!

そしてこの旧シリーズが評価される理由の一つが、現実の人種問題や社会問題をメタファーとして含んでいるということ。具体的には、1作目は公民権運動、2作目は核による恐怖、3作目は女性解放運動とベトナム反戦運動など。設定は奇抜ながら、現実でもこういうことが起こっていると想起させるところが、ただのSF映画にとどまらない奥深さになっているんです。

猿たちの絶対的リーダー、シーザーに惚れる新シリーズ

続いては、2011年からの新シリーズを見ていきましょう。

「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」では、神経科学者ウィル(ジェームズ・フランコ)が開発したアルツハイマーの新薬投与によって、知的進化をとげて誕生したチンパンジーのシーザーが、仲間を率いて人類へ反乱を起こすまでが描かれます。収容された動物保護施設で、着々と反乱計画を進め、ついに決行の時を迎える緊迫の場面。憎き人間に対して「NO!」と初めて声を発するシーザーは、見ていて鳥肌が立つほどの迫力! また、シーザーのためにゴリラが命を張るシーンなど、仲間同士の絆も胸が熱くなります。

3月のライオン
猿の惑星:創世記(ジェネシス)
©2011 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

その10年後から始まるのが「猿の惑星:新世紀(ライジング)」。それぞれのコミュニティを築いていた猿たちと人類が、一触即発の事態に。平和を望むシーザーと人間側のリーダー・マルコム(ジェイソン・クラーク)の思いもむなしく、互いの生存をかけた戦争が勃発します。今や猿の絶対的リーダーとなったシーザーが、育ての親・ウィルと過ごした愛しい日々を思い出す場面は、見ていてせつない…。そして、「猿は猿を殺さない」という掟を破り、クーデターを起こした親友・コバと死闘を繰り広げるクライマックスは、シーザーの思いを想像すると泣けてきます。

3月のライオン
猿の惑星:新世紀(ライジング)
©2014 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

全面戦争勃発から2年後を舞台に描かれるのが「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」です。家族を奪われ悲しみのどん底に突き落とされたシーザーは、宿敵である大佐(ウディ・ハレンソン)を追う復讐の旅へ。しかし復讐心に支配され冷静な判断を失ったシーザーは、猿の存亡に関わる危機を招いてしまいます。深い悲しみを抱えながら、仲間を守るリーダーとしての使命感、人間への復讐心との狭間で葛藤するシーザー。彼の感情にとことん迫ったエモーショナルなドラマになっています。

俳優の表情や動きを取り入れた、パフォーマンス・キャプチャー技術で映像化されたシーザーは、そんな感情を現す表情も、とにかくリアル。「ロード・オブ・ザ・リング」三部作(2001、2002、2003年)のゴラム役で知られ、パフォーマンス・キャプチャーの第一人者と言われるアンディ・サーキスが三作を通してシーザーを演じており、その演技はアカデミー賞の候補となるべき、という論争が起こったほど。

さらに、新シリーズには旧シリーズのオマージュが満載。例えば、「創世記」だけでも、1作目でテイラーが水攻めにされるシーンがシーザーに対して行われたり、「猿の惑星」の重要なモチーフである自由の女神のおもちゃでシーザーが遊んでいたり、テイラーが乗っていた宇宙船イカルス号と同じ名の火星探査機のニュースが流れたり…。さらにはシーザー、コーネリアス、ノバなど、旧シリーズのキャラクターの名前が使われています。新旧のストーリーに直接的なつながりはありませんが、旧シリーズを思わせるネタはファンにとってはうれしく、オリジナルへの愛を持って作られていることが分かるのは素敵です。

3月のライオン
PLANET OF THE APES 猿の惑星 ©2001 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

ちなみに、新旧どちらのシリーズにも属しておらず、続編も製作されていない「PLANET OF THE APES/猿の惑星」。音信不通となったチンパンジーのパイロットを探すため、宇宙に飛び出した宇宙飛行士レオ(マーク・ウォールバーグ)は、人間が猿によって支配されている惑星に墜落。奴隷にされていた人間や少数の猿たちを引き連れ、レオは地球に戻るため奮闘するが、やはりラストには驚愕の結末が…! 旧シリーズ1作目のラストを彷彿とさせるオチであったり、1・2作目に出演しているチャールトン・ヘストンを猿役、リンダ・ハリソンを囚われた人間役で登場させているところに、遊び心を感じます。

まとめ

ベースとなる設定がユニークでありながら、旧シリーズは現実問題を反映し、新シリーズでは重厚なドラマが描かれている「猿の惑星」。映画の持つ可能性を感じる、まさに名作だと改めて思います。旧シリーズは平均100分未満と時間も短く、あっという間に見られるので、ぜひコンプリートしてほしいです。

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