2017.12.15金曜日

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コラムcolumn

スタイリッシュなポアロが誕生! “ミステリーの女王”アガサ・クリスティー作品は、見ると“共有”したくなる!?

オリエント急行殺人事件
「オリエント急行殺人事件」
12月8日(金)全国ロードショー 配給:20世紀フォックス映画
©2017Twentieth Century Fox Film Corporation

"ミステリーの女王"と称されるイギリス出身の作家アガサ・クリスティー。1934年に出版された彼女の代表作「オリエント急行殺人事件」が、1974年に続き、豪華キャストの集結によって再び映画化されます(12月8日公開)。原作を知る人も知らない人も、今なお色あせない上質ミステリーの世界に浸ってみませんか?

贅沢にもジョニー・デップが早々に殺される! 豪華キャストでよみがえる名作ミステリー

著作の発行部数が全世界で20億冊以上(!)におよび、ギネスブックに“史上最高のベストセラー作家”と認定されているアガサ・クリスティー。彼女が生み出した最も有名なキャラクターが、シャーロック・ホームズと並び、世界的な人気を誇っている名探偵エルキュール・ポアロ。「オリエント急行殺人事件」は、そんな名探偵ポアロが活躍するシリーズの一作で、アガサ・クリスティーの代表作の一つです。

物語の舞台となるのは、トルコのイスタンブールからフランスのカレーへと走る、豪華寝台列車オリエント急行。大雪で立ち往生する列車内で殺人事件が発生し、偶然乗り合わせたポアロが自慢の頭脳や観察力、推理力を駆使し、証拠や証言から真相を導き出す、というストーリー。

その舞台設定の素晴らしさはさることながら、謎解きの面白さを経て、登場人物の抱える背景が明らかになると、エモーショナルなドラマが待っています。そして結末があまりに衝撃的なため、知ってしまうと、言いたくてたまらなくなり、とにかく誰かと話し合いたくなっちゃうんです。なので不用意にネット検索をすると、ネタバレを食らう危険があるので、結末を知りたくない人はご注意を!

もちろん、原作を読んだ人も、本作は新鮮に楽しめる魅力はいっぱい。原作では小柄でやや太り気味、口元に蓄えた大きなひげがポイントなポアロですが、今回の映画では名優ケネス・ブラナーが監督と兼任して演じるとあって、スマートでスタイリッシュ。さらに列車内だけでなく、外に出て捜査をするアクティブさや、合気道の達人のようなアクションまで登場。その一方で、原作の描写に近づけたという、ふさふさで大きな口ひげがチャーミングなんです。

出演者も、超豪華です!無残にも殺されてしまうアメリカ人の富豪ラチェットを演じたのが、ジョニー・デップ。ジョニデを早々に殺すとは、なんて贅沢なんでしょう!また、容疑者となる、国籍も身分も職業もばらばらの乗客たちを演じるのは、ミシェル・ファイファー、ジュディ・デンチ、ペネロペ・クルス、デイジー・リドリー(「スター・ウォーズ」のレイ役!)などなど、ゴージャスぶりが並じゃない。一人一人尋問していくポアロVS容疑者たち、そんな豪華な面々による演技合戦に興奮しないはずがありません!

どれがお好み? 作風や描き方もさまざまな「オリエント急行殺人事件」

1974年に映画化された「オリエント急行殺人事件」も、当時のオールスターキャストが集められ、世界的名女優イングリッド・バーグマンがアカデミー賞助演女優賞を受賞しています。原作と同様に、列車内で推理を展開していくため、会話劇を中心に進行しますが、さすが名優たちの芝居、最後まで決して飽きさせません。そんなキャストの華やかさそのままに、殺人をテーマにしながらも、作品全体はどこか陽気な雰囲気に包まれたエンターテインメントに徹していて、エンディングはカーテンコールのよう。また、アルバート・フィニー演じるポワロ(この時はポアロでなくポワロ表記でした)は、彼の“変人”ぶりを強調した少し滑稽なキャラクターとして演じられ、ついつい笑ってしまいます。そんなポワロが最後、謎解きを披露する一人語りのシーンは、まさに“名探偵”然とした迫力がみなぎっていて、必見です。

そのほか、多くの俳優たちがポワロを演じてきましたが、“最も原作に忠実なポワロ”と称賛されているのが、ドラマ「名探偵ポワロ」(1989年~2013年)でデヴィッド・スーシェが演じたポワロです。彼が24年にわたって演じ続けたポワロは、「尊大な人間が嫌い」と言いつつ自身は少し尊大で、でも併せ持った茶目っ気が憎めない、愛すべきキャラクターとして確立しています。このドラマシリーズでのエピソードタイトルは「オリエント急行の殺人」。2010年放送なので、円熟味の増したポワロを楽しめます。作品自体も、1974年版の映画に比べると、ずっとシリアスで重厚感が漂っています。

「オリエント急行殺人事件」という作品について、「結末が衝撃的」と前述しましたが、さらにポアロが下す“ある決断”も非常に重要な要素。このドラマ版でのポワロは、その決断に至るまで、大いに悩み苦しみ、葛藤します。そして彼が最後に見せる涙……、見終わったあと考えさせられます。

ちなみに本作には、「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)などの演技派女優ジェシカ・チャステインが乗客の一人として出演。ポワロと「正義とは?」を問い詰め合う場面、ポワロの謎解きに涙するシーンの彼女は、神がかっています!

「ABC殺人事件」や「ナイルに死す」なども有名なので、このポワロにはまったら、他のエピソードもチェックしてみてください。

「外国人の名前は覚えられない!」という人は、ひとまず三谷幸喜によってドラマ化された「オリエント急行殺人事件」(2015年)なんていかがでしょう。舞台を日本に置き換え、野村萬斎、松嶋菜々子、二宮和也などおなじみの俳優たちが顔をそろえます。ポアロならぬ勝呂(すぐろ)が事件の真相を追う第1夜と、犯人の視点から描き直すオリジナルの第2夜という、二部構成。第2夜の演出、「古畑任三郎」を思い出します。

"オリエント急行"だけじゃない! 見なきゃ人生損する、ミステリーの女王の名作

知名度において、「オリエント急行殺人事件」と双璧を成すアガサ・クリスティー作品といえば、「そして誰もいなくなった」でしょう。何度も映像化されている有名な作品ですが、日本では意外にも「二夜連続ドラマスペシャル アガサ・クリスティ そして誰もいなくなった 第一夜・第二夜」(2017年)が初映像化。

物語は、密室状態となった孤島で、10人の男女が1人ずつ殺されていき、最後はタイトル通り誰もいなくなってしまう、というダークなミステリー。 主演の仲間由紀恵をはじめ、向井理、柳葉敏郎、大地真央、余貴美子、本作が遺作となった渡瀬恒彦など、錚々たる顔ぶれが、1人また1人と死んでいきます…。いやー、暗い!

終盤、謎解きの役割を担うオリジナルキャラクターを登場させていることで、エンタメ的な見せ方にアレンジされていますが、それでも結末には不気味な恐怖が残ります。

恐怖を感じたあとには、少しほっこりできる作品を。アガサ・クリスティー自身が気に入っていたと言われるキャラクター、トミーとタペンスを紹介します。おっとりとした性格で、平和な生活を望む夫のトミー。好奇心旺盛、推理小説好きで、危険な場所へ首を突っ込む妻のタペンス。2人が活躍する1922年に発表された「秘密機関」と、1941年に発表された「NかMか」を、各3話構成で描いたドラマが「トミーとタペンスー2人で探偵をー」(2015年)です。

第二次世界大戦後の1950年代、東西冷戦期のロンドンを舞台に設定し、素人夫婦探偵が国際的なスパイ事件に挑んでいきます。夫婦げんかをしながらも、強い絆で結ばれた二人が危機的状況を打破していく様子が、ユーモアを交えて生き生きと描かれ、ワクワクさせてくれます。

まとめ

アガサ・クリスティーの作品は、キャラクターが魅力的であるだけでなく、物語のオリジナリティがずば抜けていて、今でも古臭さを感じません。原作モノの映像作品については、「原作が先か、映画が先か」問題に悩まされますが、いずれにせよ、アガサ・クリスティーの世界は、一度入ると抜け出せなくなります!

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