2017.12.15金曜日

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コラムcolumn

山崎貴監督最新作「鎌倉ものがたり」に見る、現実を超えたリアル感! さらに進化が進むVFXの世界に、飛び込もう!

「ザ・サークル」
「DESTINY 鎌倉ものがたり」
2017年12月9日全国東宝系にてロードショー 配給:東宝
©2017「DESTINY鎌倉ものがたり」製作委員会

「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズで知られる山崎貴監督が、主演に堺雅人、ヒロインに高畑充希を迎えて描いたファンタジー大作「DESTINY 鎌倉ものがたり」(12月9日公開)。日本映画におけるVFX(視覚効果)の第一人者と言われる山崎監督なだけに、かつてない映像世界へ連れていってくれます!

VFXの第一人者・山崎貴監督が、夫婦の絆をテーマに描くファンタジー

数々の大作・話題作を手掛け、今や日本を代表する映画監督の一人である山崎貴監督。 その名を広く知らしめた作品といえば、シリーズの総興収が112億円を突破した「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年)、「ALWAYS 続・三丁目の夕日」(2007年)、「ALWAYS三丁目の夕日’64」(2012年)の三部作でしょう。

ALWAYS 三丁目の夕日
ALWAYS 三丁目の夕日
© 西岸良平/小学館 © 2005「ALWAYS 三丁目の夕日」製作委員会

実写やミニチュア、CGなどさまざまな手法を組み合わせて再現された、昭和30年代の風景。特に1作目「ALWAYS 三丁目の夕日」で、CGによって再現された“建設中”の東京タワーは、見たことがないだけに印象的でした。続編「ALWAYS 続・三丁目の夕日」のオープニングでは、そんな東京タワーや昭和の街並みが、ゴジラによって無残に壊されてしまっていましたが…! そしてそのノスタルジックな風景の中で描かれる、人情あふれる人々の触れ合いに、筆者も大いに泣かされたものです。

そんな山崎貴監督の最新作「DESTINY 鎌倉ものがたり」は、「ALWAYS 三丁目の夕日」の原作者でもある西岸良平のベストセラーコミック「鎌倉ものがたり」を実写映画化。 今回の舞台は、魔物や幽霊、妖怪など、人ならざるものたちが人間たちと仲良く暮らす街・鎌倉。そこで暮らすミステリー作家・一色正和(堺雅人)は、年若い妻・亜紀子(高畑充希)との新婚生活をスタートさせます。しかし幸せもつかの間、亜紀子が不慮の事故で亡くなってしまい、正和は妻を取り戻すべく黄泉の国へ向かうのです。

本作においても、全編を通して多用されているVFX。 なかでも監督が一番大変だったというのが、実写とCGを融合させて表現した魔物たち。 例えば…黄泉の国に登場する天頭鬼を作り上げる際、古田新太の声を録り、体はその声に合わせて別の俳優が演じ、首から上の部分はデジタルのCGで処理して、これらを一体化。 ここまでこだわるから、リアルかつ愛嬌のある魔物が出来上がるんですね!

リアルな魔物も素晴らしいですが、鑑賞後、何度も思い出されるのは黄泉の国の映像。 現世と黄泉の国を行き来する乗り物として、通称“タンコロ”と呼ばれる江ノ電の旧車両を完全再現していますが、巨大な滝や海のような広さを持つ三途の川を通って、タンコロが黄泉の国へ向かうシーンは、胸踊るファンタジーの世界に連れていってくれます!

そして、「映像がスゴイ」だけではないのが山崎貴監督。夫婦の絆や親子の絆といったストーリー面でも、グッと心をつかまれますよ。

シン・ゴジラ
シン・ゴジラ
©2016 TOHO CO.,LTD.
バクマン。
バクマン。
©2015 映画「バクマン。」製作委員会 © 大場つぐみ・小畑健/集英社

山崎監督作品以外で、ここ最近、VFXで度肝を抜いた日本映画といったら、「シン・ゴジラ」(2016年)でしょう。 歴代の作品とは異なって形態を進化させていくゴジラや、ゴジラによって街が破壊されるシーンは息を飲む迫力。なじみのある東京の街や電車が被害に遭うだけに、映像のリアルさにゾッとしてしまいました。 一方で、在来線の電車がゴジラに突撃する、通称“無人在来線爆弾”には、鉄道好きならずとも胸が熱くなりました。このシーンはとても話題になったので、要チェックです!

大迫力の映像もいいですが、「バクマン。」(2015年)のVFXにもワクワク。 高校生漫画家コンビが週刊少年ジャンプの連載を目指す、というストーリーだけ聞くと、地味な画がひたすら続きそうに思えますよね。 しかし、ライバルである天才漫画家と人気順位を争うシーンは、白い空間に大きなペンを剣のように振り回して戦うアクションシーンのような演出。また、2人が漫画制作に没頭するシーンは、プロジェクションマッピングを用いてその過程が描かれるなど、とにかく躍動感があふれているんです。 なかでも、アイデアそのものが秀逸なのが、エンドロール。本棚に並ぶコミックの背表紙が、コミックのタイトルではなく、よく見るとスタッフの名前になっているなんて、遊び心がありすぎる!

ジャングルも動物も本当にCG!? ハリウッドはやはりスケールがケタ違い

映画制作において、やはりハリウッド映画のスケールは圧倒的。

ジャングル・ブック
ジャングル・ブック
©2017 Disney

アメリカのアカデミー賞には“視覚効果賞”という部門があり、第89回アカデミー賞視覚効果賞に輝いたのが、「ジャングル・ブック」(2016年)です。 ウォルト・ディズニーの遺作としても有名なアニメーション映画「ジャングル・ブック」(1967年)の実写版。動物に育てられた少年モーグリ(ニール・セディ)とジャングルの仲間たちの絆を描いた冒険ファンタジーです。 ジャングルの雄大な景色の中、オオカミや黒ヒョウ、クマたちと縦横無尽に駆け回る少年モーグリ。 そのジャングルも動物たちも、モーグリ以外はすべてCGだというから驚きです。 インドのジャングルの写真を10万枚も撮影し、ディテールにこだわって植物の一つ一つまで手作業で描かれたというジャングルは、リアルなロケ撮影したようにしか見えません。

また、ほぼCGということは、撮影はスタジオのブルースクリーンのセット。そしてモーグリは実物を相手に演技ができないということ。 そのため、演技パートナーとしてパペット操者を起用。クマのバルーのお腹に乗って川を下るシーンでは、監督自らバルー役となってモーグリの相手を務めたと言います。 ちなみに、モーグリを誘惑するカーというヘビが登場するのですが、スカーレット・ヨハンソンの魅惑的な声も相まって、ヘビなのに妙に色っぽく見えるから不思議…。

ドクター・ストレンジ
ドクター・ストレンジ
©2017 MARVEL

「ジャングル・ブック」と同賞を争った「ドクター・ストレンジ」(2016年)は、“魔術”を使うマーベル・ヒーローということで、時間と空間の概念を覆されるように、映像も摩訶不思議。 特に圧巻なのは、建物がさまざまに変形を繰り返し、重力も無視して、パズルのように上下左右、縦横無尽に入り組んでいく場面。 これまで見たこともない映像なので、きっと想像できないと思います。ぜひ映画を見てご確認を! また、ドクター・ストレンジと、彼が身につける赤いマントとの関係も愉快。命を持っているように動くマントが、ドクター・ストレンジと共に戦ったり、襟元で涙を拭いてあげようとするシーンは微笑ましく、クスリとさせてくれます。

バーニング・オーシャン
バーニング・オーシャン
©2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

最後は、実録パニック・ムービー「バーニング・オーシャン」(2016年)を紹介。 こちらも同じく、視覚効果賞にノミネートされたことで大きな注目を集めました。 モチーフとなっているのは、2010年4月20日に発生した、メキシコ湾沖の石油掘削施設“ディープウォーター・ホライゾン”での原油流出事故。すさまじい大爆発を引き起こし、施設で働いていた11人の命が失われ、約3カ月間にわたって原油が海に流出した史上最悪の事故でした。 映画は、人災でもあった事故の裏側と、突然の爆発と炎に襲われた作業員たちの人間ドラマが描かれているのですが、緊迫感とスケール感がとにかくものすごい! まず、ディープウォーター・ホライゾンの巨大セットを建造。そこにVFXを融合させた大爆発のシーンや施設に燃え広がる炎の描写は、画面から炎の熱さを感じられそうなくらいリアル。 実際に体験した人たちが感じたであろう恐怖に身が縮み、勇敢にも仲間を助けようとする人たちの姿には、熱いものがこみあげてきます。

まとめ

もはや実写と見分けがつかないくらい、日本映画においてもVFXを駆使した映像はリアルになっています。12月1日公開の実写映画「鋼の錬金術師」(12月1日公開)も、VFXが話題を集めているので合わせてチェックしてみてください。 今後、どんな映像で映画の世界への没入させてくれるのか、ますますの進化を期待しましょう!

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