2017.12.18月曜日

このエントリーをはてなブックマークに追加

コラムcolumn

何者なのか⁉ 大泉洋。"ススキノ探偵"大泉洋の過去作から見えてきた、サービス精神の「本気度」!

「ザ・サークル」
「探偵はBARにいる3」
2017年12月1日(金)公開 配給:東映
©2017「探偵はBARにいる3」製作委員会

大泉洋が"探偵"、松田龍平がその相棒を演じる、人気シリーズ第3弾「探偵はBARにいる3」が12月1日に公開。大泉洋といえば、作品の舞台でもある北海道が生んだ人気俳優。今や映画にドラマにと引っ張りだこな"北海道の星"大泉洋、知れば知るほど好きにならずにいられません! 過去作の見どころポイントをチェックして見えた、大泉洋の「本気度」とは?

"プライベートアイ"大泉洋が、三度、札幌・ススキノで暴れまわる!

探偵はBARにいる
探偵はBARにいる【ひかりTVで提供中】
© 2011「探偵はBARにいる」製作委員会
探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点
探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点【ひかりTVで提供中】
© 2013「探偵はBARにいる2」製作委員会

原作は、札幌在住のミステリー作家・東直己の「ススキノ探偵」シリーズ。 2011年に「探偵はBARにいる」として初めて映画化され、2013年の続編「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」から4年、第3弾「探偵はBARにいる3」として帰ってきました。

「アジア最北の大歓楽街、札幌・ススキノ。ここは俺の街、俺はこの街のプライベートアイ、そう探偵だ」。

お決まりのモノローグから幕を開ける映画「探偵はBARにいる」は、陰影のはっきりした映像、行きつけのバーを根城とする探偵の設定など、古き良き探偵モノを彷彿とさせるハードボイルド・エンターテイメント。 そこへ、探偵と相棒コンビのコミカルな掛け合い、相棒とヒロインの関係性、事件の真相を探るミステリー、人間ドラマ、アクションなどなど、エンタメ要素がこれでもかと畳みかけます。

そんなシリーズの魅力をしっかり踏襲した第3弾は、相棒・高田(松田龍平)の後輩からの依頼を、探偵(大泉洋)が軽い気持ちで受けるところから始まります。その依頼とは、失踪した恋人・麗子(前田敦子)を探してほしいというもの。 いつものように独自のやり方で事件を追う探偵の前に現れるのが、本作の鍵を握るヒロイン・マリ(北川景子)。悲しい過去を背負う彼女との出会いが、探偵と高田を危機へと導いていきます。そして何やら、探偵と高田にも別れが迫る…!?

北川景子、リリー・フランキー、前田敦子らが演じる初登場キャラも魅力ですが、探偵を誘惑し続ける喫茶店の峰子(安藤玉恵)、探偵と腐れ縁の極道・相田(松重豊)、隠れゲイの記者・松尾(田口トモロヲ)といったおなじみのキャラが顔を出すと、「探偵シリーズが戻ってきた!」とニヤニヤしてしまいます。

そしてシリーズのお約束といえば、探偵の拷問シーン。1作目では雪の中に生き埋めにされ、2作目ではスキージャンプに挑戦させられた探偵が、今回は冬の海で大変な目に……。大泉自身「このシーンは一体どうやって撮るんだろう!僕は死んじゃうぞ!と思ったくらい」だという件のシーンは、「今回はそう来たかぁ」と、またしてもニヤニヤ。 それでいて、切ない人間ドラマでグッと引き込んでくるのが、またニクイ。

出身地である北海道が舞台の主演シリーズということで、相当思い入れがあるという大泉洋。自身の明るいキャラクターとはひと味違う、男くささと哀愁漂う探偵役が見事にはまっています。

"北海道の星"大泉洋は、俳優なのかコメディアンなのか問題

「まれ」(NHK・2015年)や「真田丸」(同・2016年)といった国民的ドラマをはじめ、話題の映画や舞台への出演が続く、俳優・大泉洋。 「探偵はBARにいる3」と同日公開の映画「鋼の錬金術師」でも、重要な役で登場しているという売れっ子ぶり。

一方で、芸人顔負けの高いお笑いポテンシャルも大きな魅力です。 3月に行われた北海道日本ハムファイターズの始球式では、アナウンサーに「俳優、そして“コメディアン”として大活躍」と紹介され、「コメディアンだったのか(笑)!」とネットは大盛り上がり。肩書があやふやなのが、もはやネタと化しています。

そもそも、大泉洋が“北海道の星”として全国的にブレイクしたきっかけは、大学在学中から出演していた北海道の深夜番組「水曜どうでしょう」(HTB・1996年~)。大泉洋と鈴井貴之、そしてディレクター2人が国内外のさまざまな土地へ出かけるバラエティ番組です。企画なんてあってないようなもの、その場で起きるハプニングから生まれる絶妙な切り返し、ぼやき節、口喧嘩などなど…大泉洋の“芸”で大いに笑わせてくれます。ディレクターたちが大泉洋を本当に面白がっているのも、いいんです。

「水曜どうでしょうClassic 対決列島」、「水曜どうでしょうClassic 激闘!西表島」など、名物企画もいろいろ。 2002年にレギュラー放送は終了しましたが、「一生どうでしょうします!」と宣言している通り、不定期で新作が製作され、2018年にも最新作の放送が予定されているので楽しみですね!

ちなみに、筆者(東京出身)が最初に大泉洋を知ったのは「パパパパPUFFY」(テレビ朝日・1997~2002年、大泉の出演は1999年~)というバラエティ番組でした。その次に見たのは、2004年に出演した「ミュージックステーション」(テレビ朝日)。 よって、"北海道から来た、歌も歌える芸人さん"として自分の中にインプットしたのを覚えています。

しかしその後、全国放送の連続ドラマに初出演した「救命病棟24時(第3シリーズ)」(フジテレビ・2005年)で、“俳優”大泉洋を初めて見て、衝撃を受けました。人気シリーズであること、江口洋介や松嶋菜々子、香川照之といった豪華俳優たちにも動じない、ナチュラルな芝居を見せているんです。

"都市における大規模災害時の救急医療"をテーマにしたストーリーにおいて、大泉洋演じる看護師・佐倉は、お調子者のムードメーカー的存在。傷ついた患者たちが運び込まれ、医療スタッフが心身ともにすり減っていくなか、彼のユーモアと優しさは、キャラクターたちや物語にとっての救いに。そして、自身にふりかかった災難を明るく話すシーンや、涙をこらえながら患者を励ます場面では、その熱演に震えます。 “北海道の星”が全国的なスターとなっていくのも納得です。

大泉洋の号泣シーンに泣かされ、まさかのときめきも!?

「救命病棟24時(第3シリーズ)」以降、ドラマや映画に立て続けに出演していく大泉洋。 振り返ってみると、芝居の幅の広さ、見せる表情の豊かさに、改めて驚かされます。

青天の霹靂
青天の霹靂
©2014「青天の霹靂」製作委員会
駆込み女と駆出し男
駆込み女と駆出し男
©2015「駆込み女と駆出し男」製作委員会
アイアムアヒーロー
アイアムアヒーロー
©2016 映画「アイアムアヒーロー」製作委員会 © 2009 花沢健吾/小学館

例えば、劇団ひとりの原作・監督による「青天の霹靂」(2014年)。人生に絶望する売れないマジシャンが、40年前にタイムスリップし、両親と交流するうちに自身の出生の秘密を知る、というファンタジックなお話。主人公の落ちぶれ感を見事なまでに体現していて、あの達者な口から「しゃべりはちょっと…(苦手)」と出るシーンにはフフフとなりますが、本作で特にすごいのは泣きのシーン。「なんで俺なんか生きてんだよ!」と叫ぶ序盤、母親と話をする終盤のシーンなど、涙と鼻水を流して号泣する姿から感情がびしびしと伝わり、こっちも号泣必至です。

逆に、おしゃべりな大泉洋らしさが炸裂しているのが、「駆込み女と駆出し男」(2015年)。演じる信次郎という役は、幕府公認の縁切寺に離縁を願い出る女たちを手助けする、医者見習いで駆出しの劇作者。女を無理やり連れ戻そうと乗り込んでくる輩に、でたらめな話で長々と啖呵を切って追い返す場面は、息を吸うのを忘れるほど圧巻。 本作はさらに、診察の際にも「女と目を合わせてはいけない」と言う東慶寺の法秀尼(陽月華)とのコミカルなせめぎ合いが楽しく、夫との縁切りを求めるじょご(戸田恵梨香)とのほほえましい恋模様も新鮮。じょごの顔にある火ぶくれの治り具合を、会うたびにチェックする様が、なぜだかとてもセクシーなのです。

その法秀尼から「馬面」「ひょっとこ面」と評されているように、愛嬌のある顔と、さまざまな作中でもネタにされるもじゃもじゃの天パという、身体的特徴を持つ大泉洋。 「しあわせのパン」(2012年)では、そんな大泉洋がとにかくカッコイイ、理想の旦那様と思えるから不思議。心にもやもやを抱える妻(原田知世)を、優しく見守る表情は、不覚にもときめいてしまうのです。 「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」では、犯人が分かった時にサーッと切り替わる表情にゾクッとさせられたように、大泉洋は表情すら“饒舌”。

カッコイイといえばこれ、「アイアムアヒーロー」(2016年)でしょう。謎の感染によって日本中がパニックに陥る中、大泉洋演じる冴えない男・英雄が、逃げる道中に出会った女子高生たちを守るため、真のヒーローとなる姿が描かれます。 ショットガンをぶっ放した後に見せる英雄の男の背中、しびれます。

ちなみに、本作を引っ提げて参加した海外の映画祭でも、舞台挨拶で見事に笑いを取った大泉洋。どんな場所でも、とにかく楽しませようとする精神には感服します。 もはや俳優だろうがお笑いだろうが、肩書なんかどうでもいい、愛すべき人なのです。

まとめ

全国区の人気を獲得しても、郷土愛を貫き続ける大泉洋。どの役も楽しそうに生き生きと演じ、常に周りを楽しませようとするサービス精神にあふれるなど、見習うべき魅力がたくさん。著書「大泉エッセイ 僕が綴った16年」でも、ユニークな彼の人となりが自由な文体で表現され、笑えると共に、家族への愛に泣かされます。 28歳差の恋愛模様を描いた人気漫画原作「恋は雨上がりのように」(18年5月公開)で小松菜奈とW主演することが決まっているなど、これから出会える新たな大泉洋にも期待です!

最新記事