2018.01.22月曜日

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コラムcolumn

ドラマや映画は脚本家で選ぶ時代! 原作ファンが信頼する「逃げ恥」脚本家・野木亜紀子なら外れなし!

「アンナチュラル」
「アンナチュラル」
2018年1月12日(金)より、毎週金曜夜10時~TBSで放送

石原さとみが主演を務める連続ドラマ「アンナチュラル」(TBS)が、1月12日から放送スタート。豪華なキャストはもちろん、2016年の大ヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の脚本家・野木亜紀子による“オリジナル脚本”であることも話題に。原作付きが多い野木脚本ですが、丁寧な心理描写、心をつかむセリフやシーンの構成力は、オリジナルでも発揮してくれるはずです!

『不自然な死は許さない!』石原さとみが法医解剖医を演じる法医学ミステリー

「アンナチュラル」の舞台は、日本に新設された死因究明専門のスペシャリストが集まる「不自然死究明研究所(unnatural death Investigation laboratory)」、通称“UDIラボ”。 その仕事は、連日運ばれてくる“不自然な死”(アンナチュラル・デス)の死体を解剖し、死因を究明すること。

ドラマは、そんなUDIラボで働く個性豊かなメンバーの人間ドラマを描きながら、スピード感を持って、死の裏側にある謎や事件を解明していく、一話完結型の法医学ミステリー。 これまで原作のある脚本を多く手掛けてきた野木亜紀子が、満を持して臨むオリジナル脚本です。

主人公の法医解剖医・三澄ミコトを演じる石原さとみをはじめ、同じく法医解剖医の中堂系役に井浦新、記録員・久部六郎役に窪田正孝、臨床検査技師・東海林夕子役に市川実日子、UDIラボの所長・神倉保夫役に松重豊と、キャストは実力派が集結。

さまざまな“死”を扱いながらも、中心として描かれるのは生きた人間たちのドラマ。 日々死と向き合う特殊な世界にいるUDIメンバーですが、恋や家族関係に悩み、友情を育み、時に遺族に共鳴して涙してしまう……そんな、あくまで普通の人間である彼らの姿や、事件を通して変わっていく関係性が、丁寧に描かれていきます。

そしてクセのあるメンバーたちの会話劇や、スリリングでスピード感のある展開に、一気に引き込まれること必至です!

「逃げ恥」だけじゃない! 原作ファンも納得の傑作ドラマを生み出す野木亜紀子

逃げるは恥だが役に立つ 全11話【TBSオンデマンド】
逃げるは恥だが役に立つ 全11話【TBSオンデマンド】
© TBS © 海野つなみ「逃げるは恥だが役に立つ」(講談社「Kiss」連載)

野木亜紀子といえば、批判をうけやすい漫画や小説の実写化作品に定評があり、これまで数々のヒットドラマや映画を手掛けてきた人気脚本家です。

彼女の脚本はなぜ原作ファンに受け入れられ、人気を博すのか? 原作の持つ哲学や世界観を理解し、尊重したうえで、エピソードの取捨選択やより掘り下げるためのオリジナルエピソードの入れ方、ここぞというセリフの使い方が見事なんです。

代表的な作品といえば、社会現象ともいえる大ブームを巻き起こしたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS・2016年)でしょう。 海野つなみの同名漫画を原作に、新垣結衣と星野源が“契約結婚”をする夫婦を演じた社会派ラブコメディです。 徐々にお互いを意識し始める妄想女子とウブな男の“ムズキュン”なラブ展開や、星野源が歌う主題歌「恋」に乗せて踊る“恋ダンス”に世間は熱狂。 また、「派遣切り」や「就職難」「事実婚」など現代社会ならではのトピックを盛り込み、結婚や生き方の多様性を提示する社会派な展開も共感を呼びました。

そして何より魅力的なのが愛すべきキャラクターたち。なかでも、ドラマ独自のエピソードを盛り込んだことで、より人間味あふれる存在となっているのが、石田ゆり子が演じるみくり(新垣結衣)の伯母・百合です。 ドラマオリジナルのキャラクターとして百合の部下を登場させ、原作漫画の中では描かれなかったオフィスでの百合をがっつりと描くことで、百合というキャラクターがとっても共感しやすくなっているんです。 そんな百合のセリフ、胸にストンとはまった女性は多いのでは。特に、若い方が価値があるという固定概念に縛られた女性に対して、百合が「自分に呪いをかけないで」と諭すシーン、心に染みます。

重版出来!全10話【TBSオンデマンド】
重版出来!全10話【TBSオンデマンド】
© TBS © 松田奈緒子/小学館

「逃げ恥」の2クール前に、同じ火曜10時の枠で放送されていた同名漫画原作の「重版出来!」(TBS・2016年)も、野木亜紀子脚本による作品。 コミック誌「週刊バイブス」の新米編集者・黒沢心(黒木華)を中心に、編集部員、漫画家、営業担当、書店員たちが一丸となって仕事に打ち込むヒューマン群像劇です。 一癖も二癖もある編集部員や、さまざまな事情を抱える漫画家たち、キャラクター1人1人がきちんと立っていて、彼らがそれぞれに抱える思いが明かされるたび、グッとくるんです。 特に、アシスタントをしながら漫画家を目指す沼田(ムロツヨシ)が、天才的な才能を持つ相手と出会ったことで、現実と向き合うことになるエピソード(7話)、泣けます…!

「逃げ恥」も「重版出来!」も見ないと損する傑作ですが、筆者が個人的に一番オススメしたいのは「空飛ぶ広報室」(TBS・2013年)です。 「図書館戦争」シリーズ(この実写作品も野木脚本!)などで知られる有川浩の同名小説を、新垣結衣と綾野剛の共演で実写化したドラマ。 航空自衛隊の広報室を舞台に、強気なTVディレクターの稲葉リカ(新垣結衣)と元戦闘機パイロットの空井大祐(綾野剛)の2人が、夢を絶たれ新たな目標を見つけて奮闘する姿が描かれます。 そんな2人の成長物語も重要ですが、やはり注目は、原作では淡く描かれているリカと空井のラブストーリーが、ドラマではがっつりと描かれていることでしょう。 空井がリカの手を取り「2秒ください」と言って“あること”をするシーン(第8話)は、“逃げ恥”の第6話(見た人は誰しも悲鳴を上げる神回)と並ぶ衝撃的な胸キュンシーンです。必見!

空飛ぶ広報室 全11話【TBSオンデマンド】
空飛ぶ広報室 全11話【TBSオンデマンド】
© TBS

そのほか柴田恭兵や水野美紀、要潤、高橋努、ムロツヨシら広報室メンバーたちの絆、航空自衛隊という特殊な職業の魅力を必死に伝えようとする奮闘ぶりも微笑ましいです。

どの作品においても、とにかくキャラクター一人一人への愛を感じられるのが野木亜紀子の脚本。 最終回を迎えたあとも、この世界で彼らが今も生きている、そう思えるくらい感情移入させられてしまいますよ。

ヒーロー誕生譚も、異色のラブコメ映画も、心理描写が秀逸!

アイアムアヒーロー
アイアムアヒーロー
© 2016 映画「アイアムアヒーロー」製作委員会 © 2009 花沢健吾/小学館

映画でいえば、2016年に大ヒットを記録した「アイアムアヒーロー」が記憶に新しいところ。 花沢健吾の人気コミックを、大泉洋主演、長澤まさみ、有村架純の共演で実写化したパニック・ホラーです。 平凡な日常を打ち砕いたのは、謎の感染によって人々が変貌を遂げた生命体“ZQN(ゾキュン)”。 街が感染パニックに陥る中、人生にくすぶっていた主人公・英雄(大泉洋)が、少女たちとの出会いをきっかけに、成長しヒーローとなっていく……。 ベタな構図ではあるけれど、英雄の心情を繊細に表現する大泉洋の芝居も相まって、実に爽快! 特に、ZQNに立ち向かわなければと思いつつ、英雄がロッカーに隠れ続けるシーン。飛び出しては襲われるという妄想を、何度も何度も繰り返してはためらう、まさに映画ならではの演出で、英雄の感情が表現された名シーンです。 また、英雄がずっと守ってきた女子高生・比呂美(有村架純)が、最後につぶやくセリフ、タイミングがニクイ。そりゃ胸が熱くなっちゃいます。

映画「俺物語!!」
映画「俺物語!!」
© アルコ・河原和音/集英社 © 2015映画「俺物語!!」製作委員会

最後は、鈴木亮平が30キロ増量して役作りに挑んだことが話題を呼んだ「俺物語!!」(2015年)を紹介。 原作は、“ゴリラ”“おっさん”と表現されるほどイカツイ顔面と屈強な肉体を持ちつつ、純情で優しい性格の男子高校生・剛田猛男が主人公という異色の少女漫画。 猛男と、猛男が思いを寄せる女子高生・大和凛子(永野芽郁)との恋模様、親友・砂川誠(坂口健太郎)との友情を、優しいタッチで描くラブコメディです。

本作は、恋愛映画に欠かせない、主人公たちの恋路を邪魔する悪役は登場せず、あくまで障害となるのは自身の心の問題。 これまでの経験上、猛男が恋愛に関して自信を持てないが故、すれ違って行くのが歯がゆいのです。 そういう意味では、「逃げ恥」と共通していますね。 下手したらドコメディになってしまう作品を、巧みな心理描写で、笑って泣けて胸キュンできるエンターテイメントにしているのは、さすが野木脚本です。

まとめ

「逃げ恥」「空飛ぶ広報室」がお気に召すなら、同じく野木亜紀子×新垣結衣のタッグによるドラマ「掟上今日子の備忘録」(日本テレビ・2015年)もオススメです。 原作と実写作品は別物、というのには同感ですが、原作へのリスペクトが感じられなければやはりファンとしてはムムムとなりますよね。その点、安心して見られる、むしろ想像以上に夢中になって見たくなる映画・ドラマにしてくれると信頼できるのが野木亜紀子の脚本。オリジナル脚本で挑む「アンナチュラル」も楽しみですね!

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