2018.03.27火曜日

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コラムcolumn

不屈のスパイや孤独な宇宙飛行士、13cmの善良な市民まで…。天才マット・デイモンが演じる、リアルな説得力

「ダウンサイズ」
「ダウンサイズ」
2018年3月2日(金)全国ロードショー 配給:東和ピクチャーズ
©2018 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

人間の体のミニチュア化に成功!? そんな斬新な世界観が話題の映画「ダウンサイズ」が3月2日に公開。主演を務めるマット・デイモンと言えば、「ボーン」シリーズや「オデッセイ」など大ヒット映画に数多く出演し、多くのファンに愛されるハリウッドスター。13㎝のマット・デイモン、気になりませんか?

マット・デイモンがまさかの手のひらサイズに“ダウンサイズ”!

人口問題、環境問題を解決すべく開発された、人間の体を1/14に“ダウンサイズ”する技術。180cmの人間であれば約13cm。決して元には戻れません。ですが、資産が82倍になり大豪邸に住めるとしたら、13cmになることを選ぶでしょうか?

映画「ダウンサイズ」は、そんな奇想天外な設定のもとに展開するSFアドベンチャー。低収入で高ストレスな日々を送る主人公・ポール(マット・デイモン)と妻オードリー(クリステン・ウィグ)は、悩んだ末、“ダウンサイズ”された世界に希望を抱き、一緒に小さくなる決意をします。しかし、ポールが13cmになって目覚めてみると、オードリーが土壇場で逃げ出したというまさかの裏切り。失意のポールは、怪しい隣人・ドゥシャン(クリストフ・ヴァルツ)やベトナム人のノク・ラン・トラン(ホン・チャウ)との出会いによって、思いもよらない人生へと進んでいきます。

設定こそ奇抜ですが、マット・デイモン演じるポールは、片田舎で鬱屈とした人生を送る、真面目で善良な普通のアメリカ人。そんな“普通の人”を「無理なく演じられるハリウッドスターは彼しか考えられない」という監督のラブコールに応え、彼は見事に体現してみせています。腹部に詰め物などを入れたという外見的な変貌もそうですが、立ち姿やふとした表情で、親近感のわく普通さをリアルに醸し出せるのが彼の芝居のすごいところ。

物語も実は、環境問題や貧富の差など、現実的な問題への風刺が効いていて、「自分だったらどうするかな?」とついつい考えてしまう説得力があります。

ドラえもんのスモールライトのように、ピカッと一瞬の出来事であればいいのですが、ダウンサイズするまでの工程も、全身の毛を剃り、歯の詰め物を取りはずし…と妙に生々しい。この工程を踏んでいる間に、決意が揺らいで逃げてしまう気持ちは分かります。でも自分だったら……ダウンサイズするかもなぁ。

ありえない世界と思って見始めてみれば、「自分にとって幸せな人生とは?」なんて人生観にまで思いを巡らせてしまうような、不思議な魅力がたっぷりとあふれている作品です。

これを見れば絶対に好きになる! マット・デイモンの代表作といえば…

プライベートでは、ハーバード大学に進学(のちに中退)した過去を持ち、ハリウッドきってのインテリ俳優としても知られるマット・デイモン。聡明さと優しさをにじませる顔には、47歳(1970年10月8日生まれ)とは思えぬ少年のような屈託さもあり、とってもチャーミング。

そんな彼のキャリアを語る上で重要な作品が、大親友の俳優ベン・アフレックと脚本を共同執筆し、アカデミー賞脚本賞を受賞した「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(1997年)。脚本だけでなく、出演者としても主人公・ウィルを演じ、アカデミー賞にノミネートされました。

天才的な数学の才能を持ちながらも、幼少期に受けた虐待によるトラウマを抱えたウィル。ロビン・ウィリアムス演じる心理学者のショーンの温もりに触れ、徐々に心を開いていく様を、繊細な表情の変化によって表現しています。そして、マット・デイモン演じるウィルと、ベン・アフレックが演じるチャックの友情もいいんです。いつもはお酒を飲んでバカ話をするだけですが、大事な時には背中を押してあげる関係に、マット・デイモンとベン・アフレックの絆が重なり、何とも微笑ましい。

注目を集めた作品が「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」だとすれば、スターの仲間入りを果たしたのが、「オーシャンズ11」(2001年)、「オーシャンズ12」(2004年)、「オーシャンズ13」(2007年)のシリーズ。

主人公ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)にスリの腕を買われ、犯罪スペシャリスト集団に仲間入りしたライナスを、マット・デイモンが演じています。重要な任務を任されずにイライラし、先走って行動しては怒られ、仲間にだまされ、子供扱いされる、いじられキャラ・ライナス。そんな愛すべきキャラクターをユーモアたっぷりに演じていて、筆者はこのシリーズでマット・デイモンが好きになりました。パパやママに頭が上がらない感じがまた、かわいいんです。

2作目、3作目と作品を重ねるごとに確実にライナスの存在感は増していて、「オーシャンズ13」ではジョージ・クルーニー&ブラッド・ピットと肩を並べ、物語を引っ張る重要なポジションに。

ちなみに本作の監督、スティーヴン・ソダーバーグとはこのシリーズを含め合計7作でタッグ。「ダウンサイズ」のアレクサンダー・ペイン監督とマット・デイモンを引き合わせたのもソダーバーグ監督なのだそう。「ソダーバーグからいつも、マット・デイモンは完璧なプロで頭が良く、映画作りの表裏をきちんと知りたがり、よく熟知している人物だと聞いていた」というペイン監督のコメントからも、ソダーバーグ監督のマット・デイモンへの信頼の高さがうかがえます。

そしてやはり、マット・デイモンの代表作といえば、記憶を失ったスパイ、ジェイソン・ボーンを演じた、ご存知「ボーン」シリーズでしょう。ボーンを消そうと画策するCIAと対立しながら、「ボーン・アイデンティティー」(2002年)では自身の正体を探り、「ボーン・スプレマシー」(2004年)では愛する人の復讐に走り、「ボーン・アルティメイタム」(2007年)ではついにすべてを思い出すボーン。

このシリーズは、それまでのイメージを覆す壮絶なアクションが素晴らしく、アクションスター、マット・デイモンが覚醒しています。また、おなじみのスパイ、ジェームズ・ボンドが女性に奔放なのに対し、こちらのジェイソン・ボーンは一途なところがまたいい。そして切ない…!

過去の代表作で終わると思いきや、後半2作を手掛けたポール・グリーングラス監督によって9年ぶりに復活したのが「ジェイソン・ボーン」(2016年)。緊迫感あふれるストーリー展開や、迫力のあるアクションはもちろん健在で、そこへマット・デイモン自身の渋みや貫禄が加わり、最強のボーンがきっちりと更新されています。

マット・デイモン×SF作品は、“惑星でひとりぼっち”がお約束!?

クリント・イーストウッド監督の「インビクタス/負けざる者たち」(2009年)やマーティン・スコセッシ監督のアカデミー賞作品賞受賞作「ディパーテッド」(2006年)、テリー・ギリアム監督の「ブラザーズ・グリム」(2005年)などなど、名匠の作品にも数多く出演しているマット・デイモン。

それだけに、どれをピックアップすべきか悩むところですが、やはり新たな代表作ともいえる好演を見せた、リドリー・スコット監督の「オデッセイ」(2015年)ははずせません。有人探査の最中、猛烈な嵐に巻き込まれ、火星に一人取り残されてしまった宇宙飛行士で植物学者のマーク・ワトニー。厳しい状況でも決してあきらめず、ユーモアを忘れないワトニーの姿は、何度見ても元気づけられます。だからこそ、感極まって流す涙や、ユーモアでは隠しきれないほどにあふれる怒り・焦り・苦しみが、グッと説得力を持って迫ってくるのです。 こういう感情表現が、本当に真に迫っていから、悲惨な状況に置かれたけど乗り越えようとする一人の人間として、説得力があるんですよね。

でも、全体としては、悲壮感を感じさせず、爽やかな気持ちで見ていられる本作。劇場で鑑賞した時、外国人のお客さんが手を叩いて笑っていたほど。 ジェイソン・ボーンのような硬派な役もステキですが、こういうファニーなキャラクターのマット・デイモンが個人的には最強です。

ちなみに、この「オデッセイ」以前にも、“惑星でひとりぼっち”という特異な役柄をすでに演じています。それがクリストファー・ノーラン監督のSF作品「インターステラー」(2014年)。状況は似ていますが、取る行動はまったく異なり、「インターステラー」で演じるマン博士は、孤独に耐えきれず、嘘の信号を流して仲間を呼び寄せるというクズな役。 ヒールな役どころは新鮮ですが、端役でのまさかのキャスティングに、「あれ?マット・デイモン!?」と驚いた人も多かったのでは。

驚きのカメオ出演といえば、最後に「マイティ・ソー バトルロイヤル」(2017年)も紹介。劇中の演劇シーンで、ソーの弟・ロキに扮して登場したのが、まさかまさかのマット・デイモン。コメディ要素の強い作品の中でも、ひときわ劇場の笑いを誘っていました。こういう役をノリノリでやってしまうところが、好きにならずにいられないんです。

まとめ

最近では、マット・デイモンがプロデューサーを務めた「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(2016年)も話題に。スケジュールの都合でマット・デイモンから主演を引き継いだ、ベン・アフレックの実弟ケイシー・アフレックが見事アカデミー賞主演男優賞を受賞。それを大喜びするマット・デイモンとベン・アフレックの姿は印象的で、大スターになっても変わらぬ友情を見せてくれるところに、また親近感。俳優はもちろん、脚本やプロデュース、さらには監督としての顔を見せてくれることに期待したいです。

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