2018.04.24火曜日

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コラムcolumn

絶妙なセリフ回しと爽快な伏線回収! 話の続きが気になる随一の脚本家・古沢良太の新作が、“月9”で見られる!

「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」
「コンフィデンスマンJP」
2018年4月9日(月)スタート
フジテレビ系、毎週9時放送

長澤まさみが11年ぶりに“月9ドラマ”の主演を務める「コンフィデンスマンJP」(フジテレビ)が4月9日からスタートしました。「リーガルハイ」シリーズや「デート~恋とはどんなものかしら~」「ALWAYS 三丁目の夕日」などで視聴者・観客の心をつかんできた人気脚本家・古沢良太が、約3年ぶりに描く連続ドラマです。セリフ回しの妙と伏線回収のカタルシスに、酔いしれましょう!

主要キャストは全員詐欺師! 月9史上初、だましだまされる“コンゲーム”

タイトルの“コンフィデンスマン”は信用詐欺師、“JP”はジャパンを意味するドラマ「コンフィデンスマンJP」。

長澤まさみ演じる主人公・ダー子は、天才的な知能と抜群の集中力を持ち、キャビンアテンダント、秘書、海外の大物女優など、さまざまな職業人になりすますことができるコンフィデンスウーマン。美貌に加えて多くの才能がありながらも、無軌道な性格の上に天然で、男性を誘惑する“ハニートラップ”の才能はないという、どこか憎めない女性です。

ダー子が行動を共にするのが、月9ドラマ初出演の東出昌大が演じる、真面目で小心者の若きコンフィデンスマン、ボクちゃん。そして、小日向文世扮する、百戦錬磨のベテラン・コンフィデンスマン、リチャード。

「コンフィデンスマンJP」は、この3人の信用詐欺師たちが、毎回さまざまな業界を舞台に、壮大で奇想天外なトリックによって、欲望にまみれた金の亡者たちから大金をだましとる、痛快エンターテインメントコメディー作品です。

映画「スティング」(1973年)や映画「オーシャンズ11」シリーズ(2001年、2004年、2007年)などに代表される、信用詐欺、取り込み詐欺、二転三転のだまし合いを描く、いわゆる“コンゲーム”というジャンルは、月9ドラマ史上初。

そして、自身初のコンゲームに挑むのが、数々のヒット作を生み出してきた脚本家・古沢良太(こさわ・りょうた)。本作は、“月9”という伝統的なドラマ枠、豪華なキャストのほか、古沢良太によるオリジナル作品であるということが、期待を集めている大きな理由の一つなのです。

偏屈で毒舌な拝金主義の弁護士による法廷劇「リーガルハイ」シリーズ(同・2012年、2013年/主演・堺雅人)、恋愛不適合者同士の異色ラブストーリー「デート~恋とはどんなものかしら~」(フジテレビ・2015年、以下「デート」/主演・杏)。これらに代表される古沢良太のオリジナル作品は、多くの人を虜にする魅力にあふれています。筆者も前述の2作は、次週が待ち遠しくて仕方なく、最終回がさみしくてたまらなかったものです。(今でも続編を心待ちにしています!)

なぜこんなにも、古沢作品は観る者を引き込んで離さないのでしょうか?

セリフの掛け合い、キャラクターの人間味、構成力で魅せる天才

最近は漫画や小説などの実写化作品が多い日本の映画・ドラマ界において、オリジナル作品が評価され、求められる、まさに当代随一の脚本家・古沢良太。

オリジナル脚本だけでなく、日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ(2005年、2007年、2012年)や、「寄生獣」二部作(2014年、2015年)、「探偵はBARにいる」シリーズ(2011年、2013年、2017年)など、原作モノの話題作も多く手掛けています。ドラマで言うと、漫画原作の「鈴木先生」(2011年)も古沢良太が脚本を担当して高い評価を集め、後に映画化されました。

さて、話をオリジナル作品に戻します。よくあるジャンルであっても、“定石”や“お約束”と言われる展開を無視し、よくある作品になっていないのが古沢脚本ならでは。ラブストーリーにしても、“恋愛不適合者”の男女(杏、長谷川博己)がつたないデートを重ねる「デート」のような作品は、見たことがありません。外側は異色でも、“恋とは何か”を突き詰めるというテーマは、かなり直球だったりします。

法廷モノの「リーガルハイ」シリーズでは、本来であれば敵役になりそうな、拝金主義で性悪な弁護士・古美門(堺雅人)が主人公。周りとの関わりの中でほだされていく…なーんてことはなく、“金こそ正義”の精神で最後まで突っ走っていきます。

よくある、ありがち、が通用しないからこそ、この先どうなるのか展開が読めず、次が楽しみになるんです。

また、本来は主人公になりえない嫌なやつ、どうしようもないキャラクターでも、見ていくうちに愛おしい存在に思えてくるのも、特徴的。それには、そのキャラクターに突っ込みを入れるパートナーの存在が重要になっています。「リーガルハイ」の古美門(堺雅人)には真面目で正義感の強い弁護士・黛(新垣結衣)、「デート」の主人公、超合理主義者の依子(杏)には“高等遊民”ことニートの巧(長谷川博己)など。

スキャナー 記憶のカケラをよむ男
スキャナー 記憶のカケラをよむ男
©2016「スキャナー」製作委員会

「スキャナー 記憶のカケラをよむ男」(2016年)で言えば、“残留思念”=物や場所に残った人間の記憶や感情、を読みとることができる仙石(野村萬斎)と、相棒・丸山(宮迫博之)の関係がそれ。世間から隠れるように暮らす、ネガティブで偏屈、人間嫌いな仙石が、丸山のツッコミによって、おかしみを感じさせる愛らしいキャラクターに思えてきます。ちなみに作品は、仙石・丸山コンビが失踪者の捜索をするうちに連続殺人事件を追うことになるサスペンスで、なかなか切ないんですよね…。

そして、古沢作品の最も重要な要素といえば、ボケとツッコミで笑いを生む漫才のように、生きたセリフを使ったテンポのいい掛け合い。

筆者個人の生涯ベスト級映画である「キサラギ」(2007年)を見れば、そのすごさを実感できると思います。自殺したD級グラビアアイドル・如月ミキの一周忌追悼会に集まった、ファンサイトの常連である5人の男(小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雅、香川照之)の会話劇を描くワンシチュエーション・コメディー。彼女の死の真相を真剣に話し合う5人の掛け合いがとにかく楽しくて、何度も見ているのに、見るたびに噴き出してしまいます。

キレイな言葉や面白い単語を並べて“よさげなセリフ”にしているのではなく、何てことないセリフを面白くなる状況で使うのがとにかくうまい!「えー!どういうこと!?」とか「第一印象だ!」とか、そんなちょっとしたセリフを面白くできるのは、簡単に見えて簡単じゃないはず。天才。そういう返しをすればこんなに面白くなるんだ、なんて会話術としても参考になったりしますよ。

エイプリルフールズ
エイプリルフールズ
©2015 フジテレビジョン

何気なく散りばめられた伏線を、きれいに回収する構成も、またお見事。エイプリルフールのある一日を舞台に、さまざまな嘘によって巻き起こる大騒動を描いた映画「エイプリルフールズ」(2015年/戸田恵梨香、松坂桃李ほか)は、まさに古沢作品の真骨頂。同時進行する複数のエピソードがやがて複雑に絡み合い、パズルのピースがあるべき場所におさまるようなラストは、爽快感を覚えるほど。ちなみに、「リーガルハイ」の制作陣が手がけた作品ということもあってか、同作のあるキャラクターもちょっとだけ登場する、ファンにはうれしいサービスも。

笑いながらも、最後はほろりとしたりじんわりしたり、ハートフルな着地が多いのも魅力の一つ。なにより、見ると何気ない日常がちょっと楽しくなる、古沢作品にはそんなパワーがあると思います。だから月曜の夜に見られると、一週間がんばれそうですね。

まとめ

刑事ドラマらしくない刑事ドラマ「ゴンゾウ~伝説の刑事」(テレビ朝日・2008年)も、見ごたえがあってオススメです。最近で言うと、新垣結衣と瑛太が共演した映画「ミックス。」(2017年)も話題を集めましたが、新垣結衣のコメディエンヌぶりを世に知らしめた、という意味でも「リーガルハイ」シリーズは重要ですね。今後、古沢良太脚本の大河ドラマや朝ドラなんかも見てみたいものですが、それよりなにより、やっぱり「リーガルハイ」「デート」の続編が見たい!(しつこいけど強調します!)

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