2018.08.07火曜日

このエントリーをはてなブックマークに追加

コラムcolumn

一番の酷暑対策は家を出ないこと!? 
夏休みは涼しい室内でアカデミー賞作品のVODざんまい!

万引き家族

せっかくの夏休みですから、海遊び、川遊び、山遊びへ出かけるのもいいですが、あえて暑さを避けてインドアに過ごすというのも一つの選択肢。そんなおウチ遊びのお供にVODはいかがでしょう? あまたある名作映画の中から、今年3月に授賞式が行われ、日本でも注目を集めたアカデミー賞受賞作品をオススメします!

賞レースを牽引し主要部門を分け合った、女性主人公の2作品

日本では、「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」(2017年)で主演ゲイリー・オールドマンの特殊メイクを担当した辻一弘の、メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞という快挙が大きなニュースとして取り上げられたアカデミー賞。今年のアカデミー賞を象徴するような、主要部門受賞作をまずは紹介します。

種族を超えた愛の物語「シェイプ・オブ・ウォーター」

シェイプ・オブ・ウォーター
シェイプ・オブ・ウォーター
© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

第90回を迎えた今年は、日本の特撮映画やロボットアニメ好きの“オタク監督”として日本でもファンの多いギレルモ・デル・トロ監督の「シェイプ・オブ・ウォーター」(2017年)が、作品賞をはじめ監督賞、作曲賞、美術賞の最多4冠を獲得しました。

本作は、声を出せない清掃員の女性イライザ(サリー・ホーキンス)と、彼女が働く政府の機密施設に捕らわれた“不思議な生き物”(ダグ・ジョーンズ)との、種族を超えた愛を描いたファンタジー・ラブストーリー。こういったファンタジー色が強く、モンスター映画でもある本作の作品賞受賞は、これまでの受賞作品の傾向から見るとサプライズ。それは、今後は幅広いジャンルの作品がノミネート&受賞できる可能性を感じさせてくれる、うれしいサプライズでした。

また、舞台となった時代は冷戦や宇宙開発競争、公民権運動のただ中にあった1962年。現代の世界情勢と通ずる、性差別、人種差別、男女不平等が根深くあるなか、マイノリティである主人公たちの権力への反乱を描いていることも本作の特徴です。

今年のアカデミー賞は、女性や移民、人種、性的マイノリティなどさまざまな差別やギャップを超える、多様性と平等が大きなキーワードになっていました。

シェイプ・オブ・ウォーター(字幕・吹替)

R-15


ビデオ番号:34097(字幕)・34102(吹替)
視聴料金:[購入]2700円(税込)・[レンタル]432円(税込)/48時間

「スリー・ビルボード」は主演女優の存在感が圧巻

スリー・ビルボード
スリー・ビルボード
© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

セクハラ問題に関する運動「#MeToo」や「Time's Up」の世界的な広がりもあり、授賞式で特に際立っていたのは女性たちの存在感。中でも強烈なインパクトを与えたのが、主演女優賞に輝いたフランシス・マクドーマンドのスピーチ。女性候補者を起立させ、いかに女性の割合が少ないかを示した上で、女性映画人のプロジェクトが資金を得ることの難しさを訴え、喝さいを浴びました。

そのマクドーマンドが主演女優賞、共演したサム・ロックウェルが助演男優賞を受賞したのが「スリー・ビルボード」(2017年)。アカデミー賞では2冠にとどまりましたが、前哨戦となるゴールデングローブ賞では作品賞(ドラマ部門)をはじめ最多4冠に輝くなど、「シェイプ・オブ・ウォーター」と賞レースを牽引した作品です。

アメリカの片田舎を舞台に、娘を何者かに殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)が、地元警察のウィロビー署長(ウディ・ハレルソン)を批判する3枚の広告看板を出したことを発端に起こる騒動を描いたクライム・サスペンス。怒れる母の復讐劇と思いきや、思いもよらない出来事が次々と起こり、善人と悪人の構図すらあやふやになる展開が秀逸。

嫌がらせや抗議にも屈せず、むしろ猛然とやり返すパワフルな母を演じたマクドーマンドは、スピーチ同様しびれます。しかし個人的に注目してほしいのは、署長を慕う、暴力的で人種差別的なディクソン巡査を演じるサム・ロックウェル。とにかく不愉快なキャラクターなのに心なしか可愛げを感じさせる具合が絶妙で、物語の展開と共に迎える大きな変化には心を打たれます。青春時代に映画「グリーンマイル」(1999年)でロックウェルに心を射抜かれた筆者としては、今回のオスカー初受賞は感極まりました。これを機に日本のファンがさらに増えることを願います!

スリー・ビルボード(字幕・吹替)


ビデオ番号:34534(字幕)・34535(吹替)
視聴料金:[購入]2700円(税込)・[レンタル]432円(税込)/48時間

新感覚スリラーや傑作アニメは、さまざまなキャラクターが主役に

アカデミー賞の授賞式で司会者が触れていましたが、昨今までマイノリティが主役の映画はヒットしないと言われていたハリウッドにおいて、黒人や女性が主人公の「ブラックパンサー」(2018年)や「ワンダーウーマン」(2017年)は大ヒット。作る側だけでなく、観客も映画に多様性を求めていることが証明されました。脚本賞、長編アニメーション賞&主題歌賞に輝き、日本でも話題になった以下の2作品も象徴的です。

恐怖と笑いが融合した良質スリラー「ゲット・アウト」

ゲット・アウト
ゲット・アウト
© 2017 Universal Studios. All Rights Reserved.

脚本賞を受賞した社会派スリラー「ゲット・アウト」(2017年)。主人公は、白人の彼女ローズ(アリソン・ウィリアムズ)の実家に招待された黒人の写真家クリス(ダニエル・カルーヤ)。不安をよそに彼女の両親から歓迎を受けるクリスですが、黒人の使用人がいて、友人たちが白人ばかりなことに、かすかな違和感を覚えます。やがて違和感がさらに深まる出来事が起き、恐ろしい事態へと巻き込まれていきます。人種差別を笑いと恐怖をもって風刺するというオリジナリティあふれる作品で、低予算ながら全米で初登場1位のヒットを記録。終始気味の悪さがただよい、じわじわと恐怖を感じるのに、なぜか笑えてもくるという、今までに見たことがない斬新な作品です。よくある人種差別かと、偏見、先入観にとらわれて見ると、まさかの展開に驚かされてしまい、きっと何度も見返したくなるはず。

監督・脚本を手掛けたのは、アメリカでコメディアンとして活躍するジョーダン・ピール。監督デビュー作にして脚本賞を初受賞、さらにアフリカ系アメリカ人の同賞受賞は初という歴史を作りました。

ゲット・アウト(字幕・吹替)


ビデオ番号:01022(字幕)・01052(吹替)
視聴料金:[購入]2700円(税込)・[レンタル]432円(税込)/48時間

メキシコが舞台の感動アニメ「リメンバー・ミー」

リメンバー・ミー
リメンバー・ミー
© 2018 Disney/Pixar

長編アニメーション賞と主題歌賞をW受賞したのが、ディズニー/ピクサー作品「リメンバー・ミー」(2017年)。亡き人との心のつながりを大切にするメキシコの伝統的な祭礼行事“死者の日”をモチーフに、陽気でカラフルな“死者の国”に迷い込んだ少年の冒険と、家族の絆を描くファンタジー・アドベンチャーです。

ワクワクする冒険、思い出しては口ずさんでしまう音楽、夢のような世界観、そして感動…そういったさまざまな要素を子供も大人も共有できる、まさにピクサー作品の真骨頂で、日本でも大ヒット。舞台はメキシコですが、日本には“死者の日”に似た“お盆”があるので、遠く離れた誰かの話ではなく、身近な物語としてスッと感情移入できると思います。鑑賞後はきっと「リメンバー・ミ~♪」という最初の歌い出しを聞いただけでも自動的に涙が出てきますよ。

また、メキシコという国に対するポジティブなイメージが湧く、という意味でも大きな役割を果たしている本作。「シェイプ・オブ・ウォーター」のデル・トロ監督がメキシコ出身、「リメンバー・ミー」はメキシコが舞台と、今年のアカデミー賞はメキシコ勢の強さが際立っていました。デル・トロ監督が「私は移民です」と語り始めた監督賞のスピーチで、現実世界の不安定な情勢を念頭に置いて「映画は国境線を消せる」と言ったメッセージは、映画の持つ可能性、希望を感じさせてくれました。

リメンバー・ミー(字幕・吹替)


ビデオ番号:67920(字幕)・67921(吹替)
視聴料金:[購入]2700円(税込)・[レンタル]432円(税込)/72時間

90回目の節目にして、多様性へと舵を切った今年のアカデミー賞。映画の世界が、夢見るすべての人に平等に開かれることで、これまでにない多種多様な作品が生まれることは映画ファンとしても楽しみしかありません。今後の展開を見守るためにも、夏休みの時間を利用して、今年の作品は見ておきましょう。

まとめ

アカデミー賞の授賞式では、主題歌賞候補だった「グレイテスト・ショーマン」(2017年)の楽曲「This Is Me」を、劇中で“ヒゲの生えた女性”を演じたキアラ・セトルが、さまざまな人種のバックコーラスと共に披露するシーンも。どんなに差別されてもこれが私よ!と、途中涙をこらえながらもパワフルに歌い上げた圧巻のパフォーマンスに、会場はスタンディングオベーション。そんな「グレイテスト・ショーマン」もVODでチェック!

最新記事