2018.09.20木曜日

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コラムcolumn

もしあの時に戻ってやり直せるとしたら? 時空を越えるタイムトラベル作品は、胸を打つドラマに満ちている!

「コーヒーが冷めないうちに」
「コーヒーが冷めないうちに」 9月21日(金)より全国東宝系にて公開 配給:東宝
©2018「コーヒーが冷めないうちに」製作委員会

有村架純主演による、過去に戻れる不思議な喫茶店を舞台にした映画「コーヒーが冷めないうちに」が9月21日から公開。これまで数多く描かれてきたタイムトラベル作品に新たな一作が加わったこの機会に、切り口や設定が独創的な日本の映画・ドラマに注目してみませんか?

過去に戻っていられるのはコーヒーが冷めるまでの間

映画「コーヒーが冷めないうちに」は、2017年本屋大賞にノミネートされた川口俊和の同名小説を、続編「この嘘がばれないうちに」と共に実写化した感動作。「リバース」(TBS・2017年)や「アンナチュラル」(同・2018年)など、ヒットドラマの演出を手掛けてきた塚原あゆ子が映画監督デビューを飾っています。

舞台となるのは、主人公・時田数(有村架純)が叔父である店主・時田流(深水元基)と切り盛りする、街の喫茶店「フニクリフニクラ」。この店には、店内の“ある席”に座ると、望んだ時間に戻ることができるという都市伝説がありました。ただし、そのタイムスリップには面倒なルールがいろいろ。

不思議な噂を聞きつけ、さまざまな後悔を抱えた客たちが店を訪れます。幼なじみの五郎(林遣都)とケンカ別れしてしまった三十路直前の独身キャリアウーマン清川二美子(波瑠)、若年性アルツハイマーに侵された佳代(薬師丸ひろ子)とその夫・房木康徳(松重豊)、故郷の妹(松本若菜)から逃げ回るスナックオーナーの平井八絵子(吉田羊)などなど。そして、映画オリジナルキャラクターである常連の大学生・新谷(伊藤健太郎)と関わることで、数(有村架純)も過去と向き合います。

「あの時に戻りたい」という後悔の思いは、ひるがえせば「未来を変えたい」という思い。しかし、「過去に戻って、どんな事をしても、現実は変わらない」というのが、前述したこの喫茶店のルールの一つ。それでも会いかった人との再会を望む強い思い、再会したことで変わる思い、そんな気持ちに寄り添った、心温まるドラマが紡がれていきます。

そのほかのルールも、過去に戻っても喫茶店を出ることはできない、この喫茶店を訪れたことのない人には会えないなど、なかなか厳しい。そんななかでも、「過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ」というのがユニークであり本作を特徴づけています。また、タイムスリップの瞬間は、それぞれが水の中に飛び込む映像によって表現されていて、神秘的な映像も必見です。

タクシーやキスなど、時空を超える方法も多彩

時空を越える物語は、「過去に戻ってやり直したい」という誰しも共感できる思いをベースに、SFならではのドキドキハラハラ感など楽しい要素にあふれ、昔から多くの人を魅了してきたジャンル。どのように時を飛び越えるのかという方法・きっかけも作品によってさまざまであり、おもしろいところです。

往年の名作「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の車・デロリアン、ドラえもんのタイムマシンなど、王道といえばやはり乗り物でしょうか。

バカリズムが初めて連続ドラマの脚本を手掛けた「素敵な選TAXI」(関西テレビ・2014年)の場合は、タクシー。竹野内豊演じる運転手・枝分(えだわかれ)が、悩める乗客たちを“やり直したい分岐点”に連れて行ってくれます。乗り込む客は、彼女に別れを告げられた男(安田顕)や不倫している社長秘書(木村文乃)、婚活パーティー帰りの女性(吉田羊)などさまざまで、演じる各話ゲストも演技派ぞろいで豪華。いろいろなパターンの“やり直し”を、構えず気軽に楽しめます。

本能寺ホテル
本能寺ホテル
© 2017 フジテレビジョン 東宝 ホリプロ
リンキング・ラブ
リンキング・ラブ
© 2017 AiiA Corporation

綾瀬はるか、堤真一、濱田岳が共演した映画「本能寺ホテル」(2017年)の場合も、乗り物といえば乗り物。京都の路地裏にある“本能寺ホテル”に急きょ宿泊することになった主人公・繭子(綾瀬はるか)が、エレベーターでたどり着いたのはなぜか1582年の本能寺。しかも“本能寺の変”が起きる前日。織田信長(堤真一)や森蘭丸(濱田岳)と繭子とのかみ合わないやり取りの楽しさと共に、やりたいことが見つからず流されるまま結婚しようとしている女性が、新たな人生へ踏み出す物語としても共感できる作品です。

乗り物から離れますが、今年の1~3月に放送されていた山﨑賢人主演のドラマ「トドメの接吻(キス)」(日本テレビ)は、キスがきっかけという衝撃の設定。キスをすると命を落とし、意識を取り戻すとそこは一週間前。最初は、見知らぬ女のキスの奇襲から逃げ回る、というホラー展開からスタートしますが、主人公は金と権力だけを追い求めるクズ男なだけに、一転してその“キス女”こと宰子(門脇麦)を利用し始めます。やがて設定をいかした切ないラブストーリーに発展するなど、先の読めないストーリーは見ごたえありです。

映画「リンキング・ラブ」(2017年)の、魔法のランプから出て来る“守護神”(西村まさ彦)が過去へ連れて行ってくれるという設定も個性的。両親の離婚というピンチに直面した主人公・美唯(AKB48・田野優花 ※現在は卒業)が、バブル末期の1991年にタイムスリップし、若き日の両親をくっつけようと奔走。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を彷彿とさせるストーリーですが、本作の新しさは、AKB48の楽曲を使って、“アイドル氷河期”と言われたその時代にアイドルグループを結成してしまうという点。「恋するフォーチュンクッキー」などAKB48ナンバーを女優たちが歌とダンスで披露するクライマックスは、アイドル好きならずとも心が踊りパワーをもらえます。

アニメと実写の見比べも! やり直しの描き方が斬新

僕だけがいない街
僕だけがいない街
© 2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会

時間に関わる作品には、次々とひねりの効いた作品が誕生しますが、傑作と言われる三部けいの同名漫画を実写化したのが映画「僕だけがいない街」(2016年)。主人公の悟(藤原竜也)は、事件や事故をきっかけに、自分の意志とは関係なく時間が巻き戻る、“リバイバル(再上映)”という不思議な現象に時折見舞われます。そしてリバイバルによって、母(石田ゆり子)が殺害された事件と、18年前の連続誘拐殺人事件の真犯人に迫るのですが、同級生を救おうと必死な子供の悟がなんともいじらしい。大人の意識を持ったまま体は10歳という子供時代の悟を演じた中川翼、事件の被害者になってしまう雛月佳代を演じた鈴木梨央、子役2人の演技は息を飲むほど素晴らしいです。

オリジナルの結末を迎える実写版と、原作に忠実なテレビアニメ版を見比べてみるのもオススメ。アニメ版で子供時代の悟の声を務めた土屋太鳳、大人時代を担当した満島真之介も見事にマッチしていてスゴイです。

もはやタイムトラベルとは言えませんが、人生のやり直しという意味で最後に紹介したいのが映画「ReLIFE リライフ」(2017年)。主人公は、就職した会社を5ヶ月で辞めた27歳のニート、海崎新太(中川大志)。“リライフ”という社会復帰プログラムに参加し、薬によって見た目だけ10歳若返って1年間限定で高校生活をやり直すことになります。実際には10歳年下のクラスメイトたちとのきらめくような青春ストーリーや、今を精一杯生きようと動き出す新太の姿は、世代を問わず胸を打たれるはず。本作も人気漫画が原作で、テレビアニメにもなっているので、実写版とは異なるキャラクター設定や展開を合わせて楽しんでみてください。

まとめ

時空を越えたSFモノは本当にさまざまで、例えばドラマ「リテイク 時をかける想い」(東海テレビ・2016年)や映画「orange-オレンジ-」(2015年)のように、未来から人や手紙が届くパターンもあります。無線を通じて過去と未来がつながる、ドラマ「シグナル 長期未解決事件捜査班」(関西テレビ・2018年)のような作品も。この機会に、他の作品もぜひ掘り起こしてみてください。

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