2018.11.09金曜日

このエントリーをはてなブックマークに追加

コラムcolumn

樹木希林も絶賛! 若き演技派女優・黒木華が、日本のエンタメ界を背負って立つ

「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」
「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」
2018年10月13日(土)シネスイッチ銀座、新宿ピカデリー、イオンシネマほか全国ロードショー 配給:東京テアトル、ヨアケ
©2018「日日是好日」製作委員会

NHK大河ドラマ「西郷どん」で主人公・西郷吉之助(隆盛)の妻・糸役を好演し反響を呼んでいる、女優・黒木華(くろき・はる)。海外からも認められたその卓越した演技力を、たっぷりと堪能できる映画「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」が公開中です!

黒木華×樹木希林×多部未華子でお茶の世界を描く

「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」
「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」
©2018「日日是好日」製作委員会

人気エッセイスト・森下典子が茶道教室に通う日々をつづった著書『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』を、黒木華の主演で映画化した「日日是好日」。

20歳の春、お茶を習い始めた主人公・典子。そこから24年という歳月の中、就職の挫折、恋愛のつまずき、そして大切な人との別れなどを経験しながら、毎週通い続けた“お茶”を通して、今を生きる喜びに気づいていく姿が描かれます。

人生におけるさまざまな局面を迎える典子という女性を、たおやかに演じた黒木華。そして典子のお茶の師匠であり人生の師匠としても導いてくれる武田先生に樹木希林、共に茶道教室に通い始める典子のいとこ・美智子に多部未華子と、演技派女優たちの豪華な初顔合わせが実現しています。

夏至、大寒、立春…と季節は回り続け、典子の時間も流れ続けますが、物語の舞台となるのはほぼ“お茶室”。その小さなお茶室では、お茶の世界が静かに描かれ、大きな事件は起こりません。にもかかわらず最後まで飽きずに見入ってしまうのは、女優たちの演技に引き込まれてしまうから。

典子と美智子が、茶道の所作に戸惑いまくるお稽古シーンから、3人の自然な掛け合いが楽しく、序盤から一気にこの作品への期待が高まります。茶道と聞くと、決まりごとが多くとっつきにくい印象がありましたが、程よいユーモアをちりばめ描かれているので、「茶道、習ってみたいな」と自然と思わせてくれます。

「日々是好日」の公開を前にして、9月15日(土)、樹木希林さんが逝去されました。 樹木希林さんは生前、登壇した本作のイベントで黒木華さんに「日本の映画界を背負って立つ役者さんだなと思って期待しています」という言葉を贈っています。 そんな樹木希林さんの言葉通り本作以外でも、「億男」(10月19日公開)、主演を務めた「ビブリア古書堂の事件手帖」(11月1日公開)、「来る」(12月7日公開)と、年内だけでも出演映画が続々と待機中。日本の映画界に欠かせない存在となっているのは間違いありませんね。

名匠・山田洋次監督をも魅了する女優・黒木華の真骨頂

小さいおうち
小さいおうち
© 2014「小さいおうち」製作委員会

山田洋次監督作「小さいおうち」(2014年)で、当時23歳にしてベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞し、国内外から一躍脚光を浴びる存在となった、女優・黒木華。昭和初期の日本を舞台に、慎み深く生きる女中を演じた彼女の演技、かわいさに、世界も心を射抜かれてしまったのでしょうね。

山田洋次監督が「日本一割烹着が似合う」と太鼓判を押すように、割烹着や着物がとにかく似合う、平成生まれらしからぬ古風な雰囲気は、黒木華の無二の魅力。「花子とアン」(NHK・2014年)や「真田丸」(同・2016年)といった国民的ドラマ、高視聴率を獲得した「天皇の料理番」(TBS・2015年)などでも、おしとやかでかわいらしい日本女性を体現しています。お嫁さんにしたいという声が上がるのは、同性でも納得です。

また、言葉数が少なくても、表情や所作で感情の機微を表せる表現力を持ち、無垢で儚げに見える雰囲気も相まって、現代劇においてもおとなしくて繊細な役柄がハマります。

例えば、綾野剛とW主演という形で映画初主演を務めた、「シャニダールの花」(2013年)。限られた女性の胸元に美しい花が咲く、という不思議な世界観が描かれる本作で、植物学者・大瀧(綾野剛)とひかれあっていくセラピストの響子を演じています。花が寄生した女性たちを優しく支えながら、花の謎に迫るうちにその魅力にのめり込んでいく響子。彼女のもろさや危うさ、そして女性としての美しさ、芯の強さといったさまざまな面を、リアルに表現しています。

リップヴァンウィンクルの花嫁
「リップヴァンウィンクルの花嫁」配信限定版
©RVWフィルムパートナーズ

黒木華作品として見逃せないのは、綾野剛と再び共演を果たし、初の単独主演を務めた映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」(2016年)です。声優として参加したアニメ映画「花とアリス殺人事件」(2015年)に続く、岩井俊二監督作品。黒木を想定して書かれたという主人公・七海が、人との出会いや不条理な出来事などを経て、生まれ変わっていく姿が描かれます。 うさんくささ満点の何でも屋・安室(綾野剛)や、謎めいた女性・真白(Cocco)といった、個性も存在感も圧倒的な人物が周りを囲みますが、飲まれることなく、優しく受け止め包み込むような存在感を出し続けられるのは、黒木華だからこそ。ウエディングドレス姿やメイド服姿、森田童子の「ぼくたちの失敗」を歌う澄んだ歌声など、約3時間という長尺の中、演技力はもちろん黒木華のあらゆる魅力がいっぱいです。

新任教師、マンガ&辞書編集者、ハリセン、パンダメークもハマる⁉ 黒木華の幅

幕が上がる
幕が上がる
©2015平田オリザ・講談社/フジテレビジョン 東映 ROBOT 電通 講談社 パルコ

いまや映画やドラマにひっぱりだこの彼女ですが、女優としての原点は舞台。高校時代から演劇部に所属し、演出家・野田秀樹に見いだされ、2010年の舞台で本格的に女優としてのキャリアをスタートさせています。

そんな経験を活かし、高校演劇をモチーフにした、ももいろクローバーZ主演の映画「幕が上がる」(2015年)では、かつて“学生演劇の女王”と言われていた新任教師を演じています。飄々とした教師の顔から、瞬時に女優の顔へ切り替わる“ただものではない”感あふれるシーンに始まり、弱小演劇部の生徒たちを導く姿は真に迫っており、女優としての凄みが圧倒的。“怖い舞台演出家”の表現としてよく見られる灰皿を投げつけるシーンも、強烈です。

前項で紹介した、繊細でおしとやかといった役柄とはまったく異なりますが、どんな役にも染まれることこそ黒木華の魅力なのです。

重版出来!
重版出来!
©TBS ©松田奈緒子/小学館

それがよくわかるのが、連続ドラマ初主演を務めた「重版出来!」(TBS・2016年)でしょう。週刊コミック誌の編集部という舞台において、元柔道選手であり、元気はつらつ、熱血、前向き、そして何事にも全力な、“小熊”こと新米編集者・心を演じている黒木。あらゆるものの匂いを嬉々としてかぐ表情や、心が考案し披露する“重版出来ダンス”など、コミカルな演技がとてつもなくキュート。心の個性的なレトロファッションもかわいいと話題になりましたが、これもよく似合っているんです。

ちなみに、クールな先輩編集者・五百旗頭(いおきべ)を演じているオダギリジョーとは、かたやコミック誌、かたや辞書と媒体は違いますが、同じく出版社を舞台にした映画「舟を編む」(2013年)でも共演しています。ファッション誌から辞書編集部に異動してきたみどり(黒木華)と、チャラい先輩・西岡(オダギリジョー)。共演シーンは少ないですが、「重版出来!」とは異なるキャラを演じる2人を見比べて楽しむのはいかがでしょう。

そんな「舟を編む」の脚本家・渡辺謙作が監督を務めた映画「エミアビのはじまりとはじまり」(2016年)では、エキセントリックなキャラクターにも挑戦しています。漫才師のマネージャーという役で、目の周りを真っ黒にしたパンダメーク姿を披露したり、共演の森岡龍、新井浩文にハリセンをぶちかましたり、地面に落ちた弁当を食べたり…なかなかの体当たりぶりを見せているので、一見の価値ありですよ。

まとめ

作品ごとに違う表情に魅了され、見れば見るほどハマリ、どんどん見たくなる…そんな強大な引力を持つ黒木華、ただものじゃないです。優しいトーンでありつつ、凛として聞き取りやすい声も魅力的で、「おおかみこどもの雨と雪」(2012年)、「バケモノの子」(2015年)、「未来のミライ」(2018年)といった細田守監督作品の常連なのはおなじみ。声の魔力にもハマってしまいましょう。

最新記事