2018.12.11火曜日

このエントリーをはてなブックマークに追加

コラムcolumn

スパイダーマンの宿敵“ヴェノム”が誕生! なぜ人はダークヒーローにひかれてしまうのか?

ヴェノム
「ヴェノム」
11月2日(金)全国ロードショー 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©&™ 2018 MARVEL

マーベル・コミックス史上屈指のヴィラン(悪役)であり、スパイダーマン最大の宿敵であるキャラクター“ヴェノム”を主人公にした映画「ヴェノム」が11月2日公開。人を食べるような“悪”ではありますが、世界を救う存在となるダークヒーロー、ヴェノム。勧善懲悪なヒーローとは一線を画す、ダークヒーローが活躍する映画を紹介します!

怖さとユーモアを備えた、マーベル最強のダークヒーロー・ヴェノム

真っ黒な巨体に、大きく白い目、口いっぱいに並ぶ鋭い歯、くねくね動く長い舌を持つ、強烈なビジュアル。驚異的なパワーを持ち、触手を伸ばしたりさまざまに形を変えられ、そして容赦なく人を食らう…。

そんな恐ろしく残虐なヴェノムは、正義感あふれるジャーナリスト、エディ・ブロックが、地球外生命体“シンビオート”に寄生されてしまったことで誕生。エディは、意思を持った生命体に支配され戸惑いますが、やがて善人と悪人、2つの存在が影響し合い、ヴェノムは世界を脅かそうとする相手に立ち向かいます。

エディ・ブロックを演じるのは、「ダークナイト ライジング」(2012年)でバットマンの敵ベイン、「マッドマックス 怒りのデスロード」(2015年)で主役マックスを演じ、映画ファンの信頼を獲得した俳優、トム・ハーディ。彼なら間違いないという期待を今回も裏切っていません! ヴェノムとエディ、2つの存在が融合した複雑なキャラクターを見事に体現し、恐ろしくも愛らしいヴェノムを作り上げています。初めてヴェノムに変身し始めるシーンで、内なる支配から必死に抗おうとする姿や戸惑う姿は、相当かわいいです。

ヴェノム
©&™ 2018 MARVEL

ヴェノムのスクリーンデビューは「スパイダーマン3」

スパイダーマン3
スパイダーマン3 (字幕・吹替)
© 2007 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: © & ™ 2017 MARVEL.

映画「ヴェノム」では宿敵スパイダーマンとの関わりは描かれていませんが、サム・ライミ監督×トビー・マグワイア主演の映画「スパイダーマン3」(2007年)では、スパイダーマンを襲うヴィランとして登場しています。

「スパイダーマン3」では、最初にスパイダーマンことピーター・パーカー(トビー・マグワイア)にシンビオートが寄生し、“ブラック・スパイダーマン”が誕生。しかしスパイダーマンから無理矢理引きはがされ、ピーターに恨みを持つエディ・ブロック(トファー・グレイス)に寄生し、ヴェノムになります。「ヴェノム」と物語のつながりはありませんが、スパイダーマンを極限まで追い詰める、凶悪なヴェノムの姿を見比べてみては。

キャラが濃すぎるマーベルのダークヒーローたち

ゴーストライダー
ゴーストライダー (5.1ch)
© 2007 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. AND GH ONE LLC. ALL RIGHTS RESERVED. GHOST RIDER CHARACTER TM AND © 2007 MARVEL CHARACTERS INC. ALL RIGHTS RESERVED.

何をもってダークヒーローというか明確な定義はないですが、もともとは悪人、手段を選ばなすぎ、やりすぎ、心に闇を抱えすぎなど、どこかダークな面を持ちながらも結果的にヒーロー的な立場になる存在はダークヒーローと言えるのではないでしょうか。「ヴェノム」と同じマーベル作品には多くのヒーローがいるので、魅力的なダークヒーローも多数存在します。

例えば、ヴェノムに引けを取らないほど強烈なビジュアルを持つ、“ゴーストライダー”。ニコラス・ケイジ主演で、「ゴーストライダー」(2007年)、「ゴーストライダー2」(2012年)として映画化されています。悪魔のメフィスト(ピーター・フォンダ)に魂を売る契約をしてしまったスタント・ライダーのジョニー(ニコラス・ケイジ)が、時を経てゴーストライダーとして覚醒するというオカルトテイストなヒーロー。顔は炎がメラメラと燃えるドクロで、炎を吹き上げるヘルバイクを走らせ、悪魔と戦う姿は、目に焼き付いて離れないインパクト。もはや顔芸かと思えるほど、ニコラス・ケイジの振り切った演技も楽しいです。

見た目がすでに怖いヴェノムやゴーストライダーに対して、顔を隠すマスクも着けず、超人的な力も持たないのが、“パニッシャー”。戦闘スキルを活かし、法に代わって犯罪者を容赦なく殺していくという、バイオレンスなダークヒーローです。これまで3度映画化されていますが、2004年の映画「パニッシャー」では、愛する家族を皆殺しにされたフランク(トム・ジェーン)が、犯人たちに自ら制裁を下し、私刑執行人“パニッシャー(制裁者)”となるまでが描かれます。本作ではラスボス的なヴィランとしてジョン・トラボルタが出演していて、「名優にそんなことしちゃうの?」と思える仕打ちをされているので、ぜひ見ていただきたいです。別作品として改めて映画化された映画「パニッシャー:ウォー・ゾーン」(2008年)では、容赦のなさがパワーアップしており、序盤から残虐な殺戮が描かれるので、こちらも合わせてチェックを。

ヨーロッパのダークヒーローたちは闇が深め

ヒーロー映画というと今やアメコミ発がメインストリームな時代ですが、ヨーロッパにもダークヒーローがいました。

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ
皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ
© 2015 GOON FILMS S.R.L Licensed by RAI Com S.p.A. - Rome. Italy.All rights Reserved.

イタリア映画の「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」(2016年)は、日本で1975年から放送された永井豪原作のアニメ「鋼鉄ジーグ」にインスパイアされた異色作。主人公は、裏社会でせこせこと生きる孤独なチンピラ・エンツォ(クラウディオ・サンタマリア)。偶然にも超人的な力を手にしますが、ATMや現金輸送車を襲うなど、その力を私利私欲のために使うダメ男です。しかし、「鋼鉄ジーグ」の大ファンである孤独な女性アレッシア(イレニア・パストレッリ)から、アニメの主人公・司馬宙(しば・ひろし)と同一視されて慕われ、正義に目覚めていきます。

ヒーローとして行動を起こすまでがじっくりと描かれ、男の再生物語としての側面が強いのが特徴的な本作。エンツォが“ある物”をかぶるラストシーンは、不意打ちの感動に襲われること必至です。ちなみに、エンツォの敵となるジンガロ(ルカ・マリネッリ)がまた、いいキャラしているんです。彼の行動原理は、ATM強盗の動画が話題になったエンツォのように、自分もYouTubeで動画がバズるようなデカいことがしたい!というもので、その信念のなさはむしろ何をしでかすか分からない怖さがあります。アメコミにはなかなかいないタイプで面白いですよね。

RENDEL レンデル
RENDEL レンデル(字幕・吹替)
© 2017 Black Lion Pictures Ltd

そして、北欧フィンランド初となるダークヒーロー・アクションが、映画「RENDEL レンデル」(2017年)です。裏社会で暗躍する世界的企業に愛する妻と娘を殺された男が、漆黒のマスクとコスチュームを身にまとった“レンデル”となり、復讐を果たしていくハードボイルドな作品。ストーリーはシンプルですが、復讐を実行していくストーリーと、彼がレンデルになるまでの展開が交錯することで、謎めいた雰囲気が漂います。しかもレンデルは言葉を発しないのでさらに謎は深まり、やがて身に着けるマスクの仕組み、常に行動を共にしている謎の女性の正体、そしてレンデルの強さの理由を知ると、その闇の深さに少々ぞっとしてしまいます。それでいて、「ここ笑っていいんだよね?」と確認したくなるようなシュールな場面もあったりと、こちらの心をいい具合に振り回してくれますよ。

まとめ

ダークヒーローたちが抱える心の闇には同情してしまうし、法やモラルを無視した残虐性、やりすぎ感は、鬱屈とした日々を送る人々にとっては、どこか憧れというか、スカッとさせてくれるものがあります。完璧なヒーローももちろんかっこよくて素敵ですが、どこか欠落があると人間くささを感じられるので、そういうところに人はひかれてしまうんでしょうね。

最新記事