2018.11.12月曜日

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コラムcolumn

ワイン好きがそわそわする季節は、映画の中のワインも堪能しましょう

毎年11月の第3木曜日が「ボジョレー・ヌーヴォー」の解禁日ということもあり、ワイン好きは一層そわそわする季節ではないでしょうか。それなら、一人でしっぽり、あるいは仲間たちとわいわい楽しむワインのお供に、ワインをテーマにした映画なんていかがですか?

観ればワインが飲みたくなる!/邦画編

ワイン×映画と言えば洋画のイメージが強いかもしれません。しかし海外の映画祭で評価された「ウスケボーイズ」(2018年10月公開、渡辺大主演)のように、ワインを扱った日本映画だってもちろんあります。ということで、まずは邦画2本をピックアップ。

「サイドウェイズ」:名作を日本の名優たちでリメイク

サイドウェイズ
サイドウェイズ
©2009 Twentieth Century Fox and Fuji Television

ワインの映画、と聞いておそらく多くの人が真っ先に浮かぶのは、「サイドウェイ」(2004年)でしょう。第77回アカデミー賞で作品賞をはじめ5部門にノミネートされ、脚色賞を受賞した名作です。のどかな風景をバックに、男女4人がワイン片手にピクニックを楽しむビジュアルが印象的ですよね。

実は2009年に日本でリメイクされていて、今回紹介するのは、その日本版リメイク作「サイドウェイズ」です。出演は、小日向文世、生瀬勝久、鈴木京香、菊地凛子という豪華な面々で、日本映画でありながら舞台はなんと全編カリフォルニア。シナリオライターの道雄(小日向文世)と、結婚を控えたナンパ男・大介(生瀬勝久)という冴えない中年男性2人が、人生を見つめ直すきっかけとなるカリフォルニアでの一週間が描かれます。そして、それぞれの恋の相手として絡んでくるのが、麻有子(鈴木京香)とミナ(菊地凛子)。

道雄がワイン好きということもあり、2人の旅の中心は、ワインの産地として知られるナパ・バレーのワイナリー巡り。劇中では、ベリンジャー・ヴィンヤードやフロッグス・リープなど、ナパの人気ワイナリーが登場するのが、ワイン好きにはポイントですね。

ちなみにワイン好きの道雄、大ざっぱな性格の大介にテイスティングの作法を説いてみたり、別の場では女性たちに「カベルネ・ソーヴィニヨンは~~、ピノ・ノワールは~~」とブドウ品種のウンチクを披露したりします。しかし後半、そうして散りばめた品のよさ、教養を吹き飛ばすような暴走を見せるので、そのギャップが物悲しくもおかしい。ワインをちゃんと味わえるのは、ある程度心に余裕がある時なんだなと分かります。

そんな道雄のセリフに、「やっぱりワインは分かち合う飲み物だよ」というのがあります。本作でも男女4人でピクニックへ出掛けるシーンが描かれていて、それがリアルに楽しそうで、見ればワインと仲間を集めて出かけたくなりますよ。

「ぶどうのなみだ」:北海道のブドウ畑の景色が美しい

ぶどうのなみだ
ぶどうのなみだ
©2014 『ぶどうのなみだ』製作委員会

ナパ・バレーにも負けない、美しい日本のブドウ畑の景色を楽しめるのが、大泉洋が主演の映画「ぶどうのなみだ」(2014年)。舞台は、北海道・空知のワイナリー。ワインを作る兄・アオ(大泉洋)と、小麦を育てる弟・ロク(染谷将太)の静かな生活が、キャンピングカーに乗った謎の旅人・エリカ(安藤裕子)の登場によって、少しずつ変化を迎えていくというヒューマンドラマです。

“黒いダイヤ”と呼ばれるブドウ品種ピノ・ノワールの醸造に励むも、なかなかうまくいかず焦りを募らせるアオ。笑わない、必要以上にしゃべらない、本作の大泉洋はクールです。いや、クールというよりむしろ、偏屈で自分勝手で嫌なやつ。しかしエリカとの交流によって、人と向き合い、人の痛みを知ったアオの成長は、ワイン作りにも影響が出てきます。

ちなみに特に印象的なシーンがあります。自分の名前は“荒地”という意味があると嘆くエリカに対して、「ワインのブドウは荒地の方がよく育つんだよ」とサラリと返す、唐突なイケメンぶりを見せるアオ。不意打ちでときめいてしまいます。

ワインがおいしそうなシーンで言うと、エリカのキャンピングカーの前で、トウモロコシやお肉、パンケーキなど、町の人たちとおいしそうな料理を囲んでワインを飲みかわす場面。外で、みんなで飲んでいるワインって、なんであんなにおいしそうなんでしょう。

観ればワインが飲みたくなる!/洋画編

おいしいワインをゆったりと楽しむ時間、大事にしたいものです。洋画は、忙しい日々を送る人におすすめの2作品を紹介します。

「プロヴァンスの贈りもの」:南仏で出会った新たな人生と恋

プロヴァンスの贈りもの
プロヴァンスの贈りもの(吹替版)©2006 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

南仏プロヴァンス…その響きを聞いただけで自動的に“憧れ”という感情が湧き出しませんか?  そのうえ、映画「プロヴァンスの贈りもの」(2006年)に映るプロヴァンスの美しい景色を見れば、「いいからプロヴァンスにおいでよ」と呼ばれている気持ちになってきます。

その「プロヴァンスの贈りもの」とは、「グラディエーター」(2000年)のリドリー・スコット監督×ラッセル・クロウのコンビで描いたヒューマンドラマ。

ラッセル・クロウ演じる主人公は、ロンドンで金融トレーダーとして多忙な日々を送るマックス。ある日10年も疎遠になっていたおじさんの訃報が届き、唯一の相続人となったマックスは、おじが所有していたブドウ畑を売却するつもりで懐かしの地プロヴァンスへ向かいます。

広大なブドウ畑、おんぼろな屋敷を再訪したマックスが見たのは、毎夏おじと過ごしていた少年時代の楽しい思い出。おじが教えてくれた人生における格言、そしてワインを作る人たちの情熱が、彼の心に染み込んでいきます。また思いがけない出会いもあり、マックスは人生を見つめ直すことに。超絶美しい女優、マリオン・コティヤールが演じる、ファニーとマックスの恋愛模様ももちろん必見です!

ちなみに、おじさんの名言で好きなのは、『勝利から何も学べない。敗北からは大きな知恵を引き出すことができる』。それと、ブドウの生産者・デュフロの仕事ぶりについて語った『ブドウを育てる姿は実にエレガント』という言葉。必死に働く姿を見てくれた人が、そんな風に言ってくれたらうれしすぎますね。

「ボンジュール、アン」/寄り道、美食、美酒が教えてくれたこと

最後は、巨匠フランシス・フォード・コッポラの妻であるエレノア・コッポラが、自身の体験をもとに監督・脚本を手掛けた映画「ボンジュール、アン」(2016年)です。

娘も自立し、多忙な夫に振り回されることも慣れっこになっていたアン(ダイアン・レイン)。ある日、夫の仕事仲間であるフランス人のジャック(アルノー・ヴィアール)と一緒に、車でカンヌからパリへ向かうことに。数時間のドライブのはずが、ジャックのペースに乗せられ、たびたび休憩タイムが入り、ゆっくり食事をし、名所を観光して、しまいにはホテルで一泊。もはや小旅行になっています。戸惑い続けるアンでしたが、美食家・ジャックがセレクトするおいしい料理とワイン、そしてウィットに富んだ会話に、次第に魅了されていきます。

時間に追われる毎日の中では、目的地が決まれば、最短距離、最短時間のルートを検索して、そのナビ通りに一直線、が普通ですよね。しかし、気の向くまま赴くままに、寄り道して、目の前にあるものに感動できるのが幸せなのでは? ついつい失っていた、あるいは放棄してしまっていた当たり前のことを思い出させてくれます。

本作はワインにフィーチャーした作品ではありませんが、ハムとメロンにはシャトーヌフ・デュ・パプ、子羊料理で有名なお店ではコンドリューやコート・ロティが合うよ、ともてなしてくれるジャック。それをまた、アンがおいしそうに飲むんですよね。おいしい食事×おいしいワインをゆっくり楽しむ余裕、持たなきゃダメですね。

まとめ

人がワインを楽しむ姿には、画面を通していてもワイン欲を刺激されます。映画ではありませんが、筆者は昔「恋ノチカラ」(フジテレビ・2002年)というドラマで、深津絵里演じる主人公が、家で1人ワインをがぶ飲みしながらテレビを見ているシーンを見て、「ワインっておいしそう! 大人の女!」と、妙に憧れたものでした。紹介した4作品にどんどん刺激されて、おいしいワインに酔いましょう。

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