2018.12.12水曜日

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コラムcolumn

異色のイラつかせキャラから愛されキャラまで、若手演技派俳優・太賀の引き込み力が驚異的!

母さんがどんなに僕を嫌いでも
「母さんがどんなに僕を嫌いでも」
11月16日(金)より、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、イオンシネマほか全国公開 配給:REGENTS
©2018「母さんがどんなに僕を嫌いでも」製作委員会

ドラマ「今日から俺は!!」にも出演中の俳優・太賀(たいが)。吉田羊との共演で、壮絶な母子の関係を描いた映画「母さんがどんなに僕を嫌いでも」が11月16日から公開。脚光を浴びた“ゆとりモンスター”やイラつかせ役をやらせれば敵なし状態でありつつ、実はどんなジャンルの作品でも一度見たら心を離さない、太賀の引き付け力を体感しましょう!

太賀×吉田羊、母子のぶつかり合いが壮絶!

母さんがどんなに僕を嫌いでも
母さんがどんなに僕を嫌いでも
©2018「母さんがどんなに僕を嫌いでも」製作委員会

映画「母さんがどんなに僕を嫌いでも」は、漫画家、小説家、エッセイスト、人気ブロガーとして活躍する歌川たいじが実体験をもとに書きつづり、のちに小説化もされた同名コミックエッセイが原作。幼い頃から母に拒絶されながらも精一杯生きて来た青年が、心を許せる友人たちに出会い、母と向き合う決意をする姿が描かれます。

主人公のタイジを演じているのが、若手演技派俳優の太賀。壮絶な過去を抱えながらも、明るさをもって力強く生きるタイジを、繊細かつチャーミングに演じています。その愛らしさにすぐさま胸を撃ち抜かれ、タイジが大切な人たちに心を開き涙するシーンでは、「よかったねぇ」と抱きしめに行きたくなってしまうほど。

そしてタイジが愛することをやめられない存在、母・光子を演じているのが吉田羊。タイジの行動にイラつき、心ない言葉を浴びせ、容赦なく手を上げるという衝撃的な役を、迫真の演技で体現。ヒステリックに声を上げて泣き叫ぶ姿はすさまじい迫力で、タイジが17歳で家を出るに至った、母子の対立シーンは、2人の演技のぶつかり合いに息を飲みます。

そんな目を背けたくなるような辛いシーンもあるように、重いテーマを扱っていながらも、本作がどこか軽やかで温かい空気を感じさせるのは、中心に描かれているのが人の温もりだからでしょう。幼いタイジを深い愛情で包んだ工場従業員の“婆ちゃん”(木野花)と、タイジの殻を強引にでも割ろうとしてくれるキミツ(森崎ウィン)、タイジを優しく肯定する大将(白石隼也)、母親のような包容力を持ったカナ(秋月三佳)。タイジを支える人たちの優しさ、そして俳優たちの演技に、泣かされますよ。

福田雄一監督作品で光りまくる太賀のコメディセンス

1993年2月7日生まれの25歳にして、すでにキャリアは10年以上(2006年に俳優デビュー)という俳優・太賀。ドラマや舞台、映画など多数の作品に出演していますが、多くの人が知るきっかけとなったのは、“ゆとりモンスター”山岸を演じた「ゆとりですがなにか」(日本テレビ・2016年)でしょう。この山岸、見ていてイラつくほど憎たらしいのに、気づけば出てないとさみしくなるような中毒性があるんです。実際、山岸を主人公にしたスピンオフドラマが作られましたしね。

50回目のファーストキス
50回目のファーストキス
©2018 「50回目のファーストキス」製作委員会
今日から俺は!!【日テレオンデマンド】
今日から俺は!!【日テレオンデマンド】
©NTV

リアルから少しずれたようなキャラクターを演じても、嘘くささがなく“本物”に見えるのが太賀の持つ不思議な魅力で、例えば、映画「50回目のファーストキス」(2018年)もそう。コメディの名手・福田雄一監督が初めて撮った本格ラブストーリーで、福田組としておなじみのムロツヨシや佐藤二朗に引けを取らない存在感で、太賀は抜群のコメディセンスを発揮しています。ハワイでツアーガイドをする大輔(山田孝之)と短期記憶障害を負った瑠衣(長澤まさみ)の恋愛模様を描く本作において、太賀が演じる慎太郎は瑠衣の弟で、いつもぴちぴちの服を着た筋肉キャラ。ことあるごとに大輔にアプローチしちゃう慎太郎の、間の取り方や一つ一つの表情にいちいち笑わされて、もう天才です。また、慎太郎の暴走をその都度諌める父(佐藤二朗)とのやり取りもことごとくおもしろい。

同じく福田雄一監督の作品で、漫画家・西森博之の代表作であるツッパリ漫画をドラマ化した「今日から俺は!!」(日本テレビ・2018年)にも出演しています。演じているのは、主人公・三橋(賀来賢人)をライバル視する今井役。怪力がウリですが、三橋にまんまとだまされたり、下心を口に出してしまったり、とにかくバカ。でも、そこがかわいい愛すべきキャラクターなのです。この作品全体に言えることですが、俳優たちが楽しそうにのびのび演じている雰囲気が伝わってくるので、見ていてポジティブな気持ちになれるのがいいんです。

ちなみに、バカと知りつつ今井を尊敬してついていく、相方・谷川とのコンビも絶妙。谷川を演じる矢本悠馬とは「ゆとりですがなにか」をはじめ共演作が多く、映画「ポンチョに夜明けの風はらませて」(2017年)もその一つ。又八(太賀)、ジン(中村蒼)、ジャンボ(矢本悠馬)の3人組が、高校最後の旅に出る青春ロードムービーで、おバカな若者たちの“わちゃわちゃ”感がまぶしいのでこちらもオススメ。

世界観に引き込む太賀の“人間くささ”

南瓜とマヨネーズ
南瓜とマヨネーズ
©魚喃キリコ/祥伝社・ 2017『南瓜とマヨネーズ』製作委員会
アズミ・ハルコは行方不明
アズミ・ハルコは行方不明
©アズミ・ハルコは行方不明

抜群のコメディセンスで笑わせてくれる一方、シリアスな作品でみせる太賀の人間くささは、見ているコチラを作品世界にぐいぐい引き込んでくれます。

第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞した「淵に立つ」(2016年)や、先に紹介した「母さんがどんなに僕を嫌いでも」もその一つですが、個人的なオススメは映画「南瓜とマヨネーズ」(2017年)。この作品で見せる“男の顔”が妙にリアルで色っぽいんです。

漫画家・魚喃キリコ(なななん・きりこ)の代表作を実写化した「南瓜とマヨネーズ」は、夢を追う恋人せいいち(太賀)と昔の男ハギオ(オダギリジョー)の間で揺れるツチダ(臼田あさ美)の心情を追ったリアルな恋愛映画。ミュージシャンになるという夢がありながらも、スランプのため曲も作らず、仕事もせず、部屋でだらだらするだけのせいいち。一見ただのヒモ男のように思えますが、ツチダが体を売っていると知って猛烈に働き始めたり、元バンドメンバーに理想論をかざして文句を言っちゃうところなど、面倒くさいほどまっすぐなところが憎めないし、男らしいとすら思えてきます。部屋で思い立ったようにギターを手にする姿もよくて、ギター男子好きはグッとくるはず。歌声も素敵です。

逆に、最低な男ぶりが見事なのは、映画「アズミ・ハルコは行方不明」(2016年)のユキオ役。ユキオは、好意を寄せてくる同級生・愛菜(高畑充希)をいいように利用し、自分の立場が危うくなると平気で仲間を裏切るクズ男。不快感という意味では共通する“ゆとりモンスター”山岸のようなかわいげもなく、ひたすらムカムカさせられて、愛菜頑張れって応援しちゃう……ってまあ、まんまとハマってますね。

まとめ

出演作品が多いので、掘り返して見るとなると大変ですが、太賀という俳優を知ったが最後、絶対いろいろ見たくなります。青春映画の傑作「桐島、部活やめるってよ」(2012年)や、福士蒼汰演じる主人公の友人役を演じた月9ドラマ「恋仲」(フジテレビ・2015年)、剛力彩芽、岸井ゆきのと共演したドラマ「レンタルの恋」(TBS・2017年)などもぜひ。

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