2019.03.27水曜日

コラムcolumn

【ひかりTV単独インタビュー】
“クソ女”役も「エネルギーのある魅力的なヒロイン」に昇華する、15年目の実力派女優・夏帆の品格

夏帆

安藤サクラ主演の映画「百円の恋」の名コンビ、武正晴監督×脚本家・足立紳が新たに女性の成長と復活を描く、映画「きばいやんせ!私」が3月9日から公開。主演を務めた女優・夏帆(かほ)に、初の女子アナ役、俳優・太賀(たいが)との共演、そして舞台となった町などについてインタビュー。過去に出演した、ドラマ「グッド・バイ」、映画「海街diary」、「22年目の告白-私が殺人犯です-」へのコメントも聞いてきました!

左遷女子アナが、祭りと共に復活! 夏帆演じる新・逆境ヒロイン誕生

きばいやんせ!私
「きばいやんせ!私」
2019年3月9日(土)より有楽町スバル座他全国ロードショー 配給:アイエス・フィールド
©2018「きばいやんせ!私」製作委員会
映画「きばいやんせ!私」あらすじ不倫騒動でマスコミに叩かれ左遷され、投げやりな日常を送っている女子アナ・児島貴子(夏帆)。ある日彼女が命じられたのは、子供時代の一年を過ごした九州本島最南端の町、鹿児島県南大隅町(みなみおおすみちょう)に伝わる祭りの取材。そこで、かつての同級生・太郎(太賀)や町の人々の思いを知るうちに今の自分を見つめ直すことになった貴子は、伝統の姿を失っていた祭りを完全復活させることに目標を見出す。

これまで数多くの役柄を演じてきた夏帆にとっても、この映画「きばいやんせ!私」が女子アナ役初挑戦。まずはその役作りのお話から。

「アナウンサーの方は声の出し方や醸し出す雰囲気であったり、初対面でも『この方、アナウンサーだな』とわかるような独特の空気感があるじゃないですか。そういう“女子アナ感”を貴子を演じるうえで出せたらいいよね、ということを、武監督がおっしゃっていて。なので、実際にアナウンサーの方にお会いする機会をいただいて、原稿の読み方を教えていただいたり、なるべくニュース番組を見るように心がけていました。」

夏帆

演じる貴子はもともと、“コジタカ”の愛称で人気を集めていた美人女子アナ。しかし映画ではすでに、華やかなポジションからの転落後。沼のカミツキガメをレポートするといった左遷先の仕事も、やる気のなさが見え見え。それでいて態度は高飛車、飲みの席ではADに酔っ払ってくだを巻く始末。そんな“クソ女”こと貴子というキャラクターに対して、持った印象とは。

きばいやんせ!私
©2018「きばいやんせ!私」製作委員会

「『なんなのこの子!?』という気持ちは正直ありました(笑)。でも、すごく好きなキャラクターだなとも思います。ただかわいいだけじゃなくて、ちゃんと毒があるじゃないですか。 (脚本の)足立紳さんの書くセリフがすごく面白いんです。実際身近にいたら、『なんだこいつ』って思うかもしれないですけど(笑)。言わなくてもいい余計なことを言ってしまって、周りを振り回してしまうことはありますけど、貴子はちゃんと周りの人を動かせるだけのエネルギーのある子で、すごく魅力的なヒロインだと思いました。(自分との)共通点はあまり感じませんでしたが、自分がそう思いたいだけで、もしかしたらすごくたくさんあるのかもしれないですけど(笑)」

同世代で今最も旬な俳優・太賀との本格共演

貴子のかつての同級生であり、南大隅町で父親の営む畜産場で働く橋脇太郎を演じているのが、若手実力派俳優・太賀。所属事務所が同じという縁もあり親交はありながらも、作品で本格的に共演するのは初めてだそう。

きばいやんせ!私
©2018「きばいやんせ!私」製作委員会

「太賀くんとは十代の頃からの付き合いで、同業者の友達ってとても少ないですけど、数少ない、気の置けない同世代の役者の友達なんです。太賀くんのことは役者としても人としてもとても信頼しているので、太賀くんが現場にいてくれて 心強かったですし、すごくいろいろ助けてもらったな、と思います」

本作の中で特に印象的なシーンとして挙げてくれたのも、そんな太賀との2人きりのシーンでした。ある出来事をきっかけに、貴子の仕事への誇りのなさや甘さを、太郎が厳しく糾弾する、物語において大きな転換ともいえる場面。2人の熱演もすさまじく、ハラハラする緊迫感にあふれています。

「太賀くんと車の中でケンカする長回しのシーンは、やはり印象的でしたね。夕景狙いで、1回か、できて2回という、限られた 条件の中での撮影だったので、スタッフも私たち演者も、とてつもない緊張感のなかで、あのワンカットに賭けるという。 難しいシーンではあったのですが、すごくいいシーンになったと思っています。太賀くんとこうしてお芝居できて楽しかったです。でも今回は、共演者の方がどの方もすごく印象的でした。(岡山)天音くんや宇野(祥平)さんや坂田(聡)さんをはじめ、すごく芸達者な方たちが集まって、みなさん強烈なキャラクターを演じていたので(笑)、毎日現場でみなさんのお芝居を見るのがとても楽しかったです」

夏帆

南大隅町での“合宿”とリアルな祭りの撮影

本作の舞台となるのは、鹿児島県南大隅町。3週間に渡ったという現地での撮影について触れると、笑みをこぼしながら楽しそうに話してくれました。

きばいやんせ!私
©2018「きばいやんせ!私」製作委員会

「南大隅町の中でも、役場などのある中心部からさらに車で40分行った、佐多という場所に滞在していたんです。そこが、コンビニも車で40分行かないとない、飲食店も徒歩圏内にないっていう、すごく閉鎖的な場所で(笑)。ホテルも1つしかなく、スタッフもキャストもみんな同じホテルに泊まっていたので、合宿しているような感じでした。みんな帰る場所は同じなので距離も縮まりますし、それがすごく楽しかったですね。この作品は、町の方たちの協力がないと成立しない映画だと思うんですけど、町の方たちは本当にピュアというか、穏やかで、いい方たちばかりでした。だからこそ、この町の方たちのためにもいい作品を作らなきゃと、すごく感じましたね」

そして、貴子の取材対象として描かれるお祭りは、実際、南大隅町佐多地区に1300年続くという伝統の御崎(みさき)祭り。九州本島最南端に位置する佐多岬の御崎神社の妹神が、約20キロ離れた近津宮神社の姉神に新年の挨拶に行く、といういわれのあるお祭りです。そのお祭りのシーンに入ると、映画は一気にドキュメンタリーかのようなリアルな空気に変わります。

「撮影前に、本物の御崎祭りを見に行きましたが、 劇中のお祭りのシーンも、実際のお祭りと遜色ないくらいリアル で、まるでドキュメンタリーのようでした。(女性は禁じられているので)私はお神輿を担ぐことができないから、ただ傍観するしかできなかったんですけど、男性陣はすごく大変そうでしたね。特に、太賀くんと(岡山)天音くんは、ものすごく大変だったと思います」

約20キロの険しい道を練り歩く祭りの一行は、鉾、神輿、傘、旗で構成されています。太賀は鉾を、岡山天音は傘を持って道中を歩く役割を担っていますが、それぞれの長さは約5m、重さは約10kgにもなるといいます。

きばいやんせ!私
©2018「きばいやんせ!私」製作委員会

「あの鉾と傘って、映像で見るよりも実際はすごく重いんですよ。なかなか映像で大変さが伝わらない、ストイックなお祭りです(笑)。しかも、撮影日に雨が降ってきてしまって、そうすると、鉾の先端に付いた旗が、雨で湿ってさらに重くなってしまうっていう…。傘もそうですけど。でも、2人の表情で このお祭りの過酷さがすごく伝わると思います」

きばいやんせ!という言葉が胸に響く映画

タイトルの“きばいやんせ”とは、鹿児島弁で“がんばれ”の意味。逆境から立ち上がる貴子の姿に、頑張る元気をもらえる映画「きばいやんせ!私」。夏帆自身、映画から元気をもらったり、元気を出したい時にやることはあるのか聞いてみると…。

「猫を飼っているので、元気を出したい時はひたすら猫を 愛でます(笑)。元気を出したいと思って映画を選ぶことはあまりしませんが、最近見て思わずテンションが上がったのは、やっぱり『ボヘミアン・ラプソディ』ですね。みんなが熱中するのがすごくよくわかりました。泣いちゃいましたね。『あーしまった…不覚にも泣いてる!』って(笑)」

最後に、本作をこれから見る方へメッセージをいただきました。

「どの世代の方でも楽しんでいただける作品だと思います。決してご当地映画の枠に留まっていない、貴子という女の子の成長物語としてもとても見ごたえのある作品だと思うので、ぜひ劇場に足を運んでいただければと思います」

夏帆

夏帆が振り返る、過去の出演作品3作

映画「きばいやんせ!私」で夏帆のチャーミングなヒロイン力に魅了されたあとは、別の役柄を演じる彼女も見てみたくなることでしょう。ひかりTVで配信中のVDOから3作品をピックアップし、夏帆本人の振り返りコメントと共に紹介します!

■「グッド・バイ」(2018年):言いながら快感を覚える脚本の面白さ

グッド・バイ

太宰治の遺作にして未完の小説「グッド・バイ」を原案に描かれた、同名漫画のドラマ化作品。夏帆が演じているのは、主人公のモテ男・田島毛(大野拓朗)の愛人清算計画に付き合わされる、面倒見のいい先輩・別所役。田島毛と別所のテンポのいいユーモラスな会話劇や、愛人たちとの予測不能の展開で毎話楽しませてくれます。

グッド・バイ

見放題

ビデオ番号:
【HD】56300〜 【4K】57650〜

©ドラマ「グッド・バイ」製作委員会

「舘そらみさんという、もともと演劇畑の方が初めてドラマで脚本を書いた作品で、とにかくそらみさんの脚本が面白い。他では見たことのないような言葉のリズム感だったり、セリフのチョイスだったり、そらみさんの脚本の面白さがこのドラマの一番の見所じゃないかなと私は感じています。でも、 演じていてすごく難しかったですね…。なかなかセリフを自分のものにできなくて、難しいなと思いつつ、セリフを言いながらちょっと快感を覚えるというか(笑)。すごく楽しかったです」(夏帆)

■「海街diary」(2015年):大事にしたい出会い、是枝作品に参加できた奇跡

海街diary

吉田秋生の人気漫画を、是枝裕和監督が映画化した家族の物語。綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずという豪華女優陣が“四姉妹”を演じたことが大きな話題に。夏帆は、個性的でマイペースな三女をチャーミングに演じています。

海街diary

ビデオ番号:
42544
視聴料金:
[購入]2,700円(税込)
[レンタル]432円(税込)/7日間

©2015 吉田秋生・小学館/フジテレビジョン 小学館 東宝 ギャガ

「『こんな現場ってあるんだなあ…』と思うくらい、すごく穏やかで清らかな現場でしたね。ご一緒した綾瀬さんと長澤さんと広瀬さんとは、今でも 交流があり、ずっと大事にしたいなと思う出会いのあった、私にとってすごく特別な作品です。日常的な物語を一本の映画として見せるのはなかなか難しいことなんですけど、それはやはり是枝さんだから撮れるものだと思います。是枝さんの作品に自分が参加できたことが、本当に奇跡のようでした」(夏帆)

■「22年目の告白-私が殺人犯です-」(2017年):入江悠監督との念願の再タッグ

もらとりあむタマ子

韓国映画「殺人の告白」を、藤原竜也と伊藤英明のW主演でリメイクしたサスペンス映画。藤原竜也演じる曾根崎雅人が罪を告白した、連続殺人事件の被害者遺族の一人を演じているのが夏帆。メガホンを撮ったのは、「SR サイタマノラッパー」(2009年)や最近では「ビジランテ」(2017年)、「ギャングース」(2018年)なども話題の入江悠監督。

22年目の告白-私が殺人犯です-

ビデオ番号:
66646
視聴料金:
[購入]2,700円(税込)

©2017 映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」製作委員会

「撮影自体は4日間くらいの参加だったんです。以前『みんな!エスパーだよ!』(2013年・テレビ東京)という作品で入江監督とご一緒してから、『またどこかでご一緒したいです』という話をずっとしていたので、声をかけていただけて、久しぶりに入江さんとご一緒できたのが嬉しかったです。現場自体はなかなか過酷だったと思うんですけど、オリジナルの韓国版とはまた違った、エンターテイメントの作品になっていると思います」(夏帆)

夏帆
夏帆(かほ)
1991年6月30日生まれ、東京都出身。2004年デビュー。初主演を務めた映画「天然コケッコー」(2007年)で日本アカデミー賞、報知映画賞などで新人賞を受賞。その後、映画、ドラマ、舞台と活躍し、近作には「予兆 散歩する侵略者 劇場版」(2017年)、「友罪」(2018年)、「ビブリア古書堂の事件手帖」(2018年)などがある。2019年公開の主演映画「ブルーアワーにぶっ飛ばす」が待機中。また、NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」にも出演決定。

まとめ

取材前後にスタッフ一人一人の目を見て挨拶をしてくれて、質問にも目をまっすぐに見ながら答えてくれた夏帆。その短い時間でも、これまで数多くの現場を経験してきた彼女だからこそ醸し出せる、27歳という年齢以上の品格を感じました。過去の作品も振り返りつつ、今後のさらなる活躍にも期待していきたいです!

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