変わらぬ人気の浅見光彦シリーズ
- ―今回の番組の企画を聞いた時の率直な感想は?
- 浅見光彦を演じたのはもう大昔のことですし(笑)、いったい何をするのかなと思いました。正直、ドラマが何度も再放送されていたことさえ知らなかったんです。磯山さやかさんをはじめ、今でも浅見光彦シリーズのファンが多いので生まれた企画なんでしょうね。
- ―当時の城崎ロケでの思い出は?
- 温泉地でのロケは、すごくありがたくて、毎日温泉に入り、おいしいものを食べて最高でした。仕事のことはあまり覚えていないんですが(笑)。城崎はドラマの仕事以外でも何度も訪れていますが、今回は当時のドラマロケを思い出しながら歩き回りました。
- ―ドラマで共演されたラサール石井さんと思い出の場所などを回った感想は?
- ラサールさんとは仕事でもプライベートでも会うことが多いので、お久しぶり…という感じではありませんが、今日は「あんなこともあったな、こんなこともあったな 」と27年前のロケを振り返りながら、思い出話に花が咲きました。当時のラサールさんは温泉を楽しむ時間がなく申し訳なかったので、今回はゆっくりと楽しんでいただきたいと思っていましたが、結局今回も入れませんでした。
- ―番組にはグルメ旅の趣向もあるようですね。
- 名物の出石の皿そばを食べました。今日は気合を入れて作ってくださったのか、以前、食べた時に比べると、よりおいしかったです。おいし過ぎて食べ過ぎてしまいました(笑)。
- ―長年愛され続ける浅見光彦シリーズの魅力とは?
- シンプルで分かりやすい内容で、老若男女が安心して楽しめるドラマだというところでしょうね。水戸黄門的な要素あり、寅さん的な要素ありと、古典的なパターンを踏襲しつつ謎解きもある。レギュラーの俳優陣はもちろん、ゲスト俳優も毎回、豪華でした。僕が子供の頃から見ていた銀幕のスターさんたちが多く出演してくださっていたので、当時は本当にうれしくてとっても楽しかった思い出があります。「城崎殺人事件」ではゲストの松原智恵子さんがとても美しくて印象的で、撮影中はずっとドキドキしていました。レギュラーの加藤治子さんとは母と息子という間柄で、年に2回の親子旅のような感じで本当に良い勉強をさせていただきました。すごく贅沢な時間で特別なことだったと改めて思い返しています。
時間の重みはワインの熟成と同じ!
- ―今回の番組の見どころは?
- 27年といえば4半世紀以上ですから、人間も変われば世の中も変わります。本番組中には古い映像なども出てきて時の流れを感じると思いますが、そういった時間の重みはワインと同じで熟成した旨みがあります。そんな熟成した味わいと変化を楽しんでほしいですね。
- ―全国の浅見光彦ファンに向けてメッセージをお願いします。
- 浅見光彦シリーズファンの方は優しい人が多いんです(笑)。自分から「見てください!」って言うようなものでもないんですが、やはり多くの人に見てほしいですね。僕と同じように浅見光彦ファンの皆さんも年を重ねているでしょうから、当時のご自身のことなどを思い出しながら楽しんでくだされば最高です。
辰巳琢郎プロフィール
'58年生まれ、大阪市出身。「日本のワインを愛する会」会長。近畿大学文芸学部客員教授。京都大学卒業と同時にNHK朝の連続テレビ小説「ロマンス」で全国区デビュー。以来、知性・品格・遊び心と三拍子揃った俳優として活躍している。1994年にスタートしたTBS「浅見光彦シリーズ」は全13作に出演。著書に『やっぱり食いしん坊な歳時記』『日本ワイン礼讃』など。